私にとってあきおちゃんはヒーローだった。誰よりもかっこよくて優しい。私を助けてくれるのはあきおちゃんなんだから。そう言えば佐久間くんはきれいな切れ目をめいいっぱい開いてギロリと私を見た。お前マジでありえねえだろとでもいいたそうだ。「お前、マジでありえねえだろ」ほら、ビンゴ。いや、あたったからって嬉しくないけどね。むしろちょっと泣きたくなるけどね!佐久間くんは日本人なんだからオブラートに包むとか、八橋に包むとかそんな言葉を覚えるべきだ。そして実行するべきだ。ついでに私に少しは遠慮しろ。心の中でも見透かされたのか、突然すねを蹴られた。しかも爪先で。痛い!そう言ったら佐久間くんはニヤリと笑った。悪魔だ。悪魔がここにいる!「あー、お前マジでありえないんですけど」それ2回目なんですけど。どんだけ否定するんだこの人。でも、私嘘なんか言ってないもん。嘘じゃないもん。今もなお信じられないと疑いの眼差しを向ける佐久間くんに抗議したところ、軽く鼻で笑ってあしらわれた。佐久間くんはあきおちゃんがどれだけ優しい人なのか知らないだけだもん。佐久間くんだけじゃなくて、他のみんなだってもっとあきおちゃんのことを知れば、きっとあきおちゃんのこと大好きになるのにね。





「というわけで、いかにあきおちゃんがいい人か佐久間くんに説明してきてあげたんだからね!」
「っ〜…!お、お前ってやつは…っ!」
「もっと誉めて!」


そうじゃねえよ、ばか!という言葉と一緒に飛び膝蹴りが飛んできた。ちょ、女の子にする行動じゃないよ。このツンデレあきおちゃんめ!


「お前は余計なことしなくてもいいんだよ!」
「余計じゃないもん!必要不可欠なことだもん!」


あーもおー!自分の髪を豪快に掻き毟って、その次に私の頭もがさがさと混ぜ回す。せっかく整えてきた髪がごっちゃごちゃになってしまった。普通なら怒るところだけど、あきおちゃんなら話は別だ。あきおちゃんはこうゆう風にしか愛情表現できない人だもんね。そう思ってにこにこしていたら、何笑ってんだよ、とさらなる野次が飛ぶ。だって、あきおちゃんが優しいからと言えば盛大なため息をつかれた。


「私は悪いことしたなんて思ってないんだからね!」
「はあ?」
「私はあきおちゃんがみんなと仲良くなって、今よりもっともっとあきおちゃんが幸せになればいいって思ってるんだから」


あきおちゃんが私の頭を小突く。「ばーか」ポーカーフェイスを保ったまま本人は言ったつもりだろうけど、ちゃんと耳が真っ赤っかなのは確認済みだ。そして次のあきおちゃんの一言で私はあきおちゃんに思いっきり抱きついた。




ふたりぼっちごっこ/100709

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