「どんな……?」
「えっと、悲しかったとか嬉しかったとか」
そういうとお姉ちゃんは考え込んでしまった。お姉ちゃんは人識くんより(ほんの少し)大きいけれど、私よりは小さい。小動物みたいでかわいいと思う。本人にそういったら、きっとショックを受けるんだろうな。意外と気にしてるから。
「私は呆気なかったです。気づいたときには目の前に死体があって、嗚呼、やっちゃったんだなあって」
「わたしは、」
「……」
「覚えてない、なあ」
呟くみたいに、本当に小さく。限りなく小さな声。でも、だけど、じゃあ、
滅した記憶
(その目の憂いはなんですか)