「あ、倉持先輩の海外マーケットの話なんだけどさ。」
「ガイダンスの事でしょ?もうパワーポイント作ってるよ。手直しが入るから明日の朝まで待ってもらうことになるけど…。」
「充分!さっすが暁!雑用とかマジ信じらんねぇよ!誰かさんと役割交代すりゃいいのに…。」
「誰かさんって誰かな沢村くん?」
「さぁ、だれでしょうね。」
御幸の背後の不機嫌なオーラがどんどん大きくなって爆発しそうだが、ここだけは譲れない。
仕事だけはしてもらわなくては困るのに、毎回毎回御幸がしない仕事を降谷に頼んだのでは意味がないのだ。
そういう意味を込めて仁王立ちで腕を組み相手に向き直ると、おもしろくなさそうな御幸は冷めた目をしてこちらを睨んでいる。
子供か!と何度キレそうになったか…。
「僕は別に構わないよ。」
御幸と対峙していた自分の身体に、背後からするっと腕が回される。
丁度首と肩を抱き込むように回された腕にびっくりして顔だけ振り向くが、至近距離に暁の顔があってまたびっくりした。
「御幸さんが社長やる気ないなら僕が社長になるよ?その方が栄純だって仕事が楽でしょ?粗方仕事はもう覚えたし。」
「お前なんかにこのコーポレーションが動かせるかよ。」
「遊んでばっかりで栄純や社員に頭を抱えられるどこかの眼鏡社長よりはマシだと思いますけど。」
至極真面目な顔をした暁が御幸に敵意剥き出しで食って掛かる。
それに全力で応戦する御幸も御幸だが、なんなんだこの会社、よく一流でいられるな。

「あーもー!だーかーらー!」

今の今まで蚊帳の外だった鳴がいきなり怒鳴り散らしたかと思ったら、御幸の首にへばりついていた体勢からくるっと目の前へ軽やかに移動するとちゅうっと御幸の唇に自身のそれを押し付けた。

ピシッ。

なにかが崩れる音がした。
「一也の秘書は俺で、降谷の秘書が栄純でいいじゃん!んで今まで通りに降谷は一也の仕事を手伝う!これで万事解決でしょ?」
ねぇねぇそうでしょ?と鼻がくっ付く程の距離程しか顔を離さず鳴はくすくすと嬉しそうに笑う。
子供みたいな純粋な顔でねぇっ?と同意を求めてくる鳴に些かの殺意を感じてしまった。
「…それ名案。」
「だろっ?一也ぁ、そうしようってば!」
降谷まで乗り始めたその案になんだかイライラは増すばかり。
なんなんだ…ホントになんなんだ。
鳴が甘ったるい声で御幸の名前を呼ぶと、なんだかもうどうでもいいといったふうな一也の目がちらっと揺れた。
胸がチリッと軋む。
…あー…そうか、そうかよ。
「わかっ………。」





バシンッ!





手に持っていたファイルを力任せに床に思いっきり叩きつければ、ファイルが鳴らしたとは思えない打撃音が室内に響いた。
暫く反響していたその音に目を見開いて固まっていた三人に、クリス先輩直伝の絶対零度の視線を投げ掛ける。
びくっと肩を揺らした三人はゆらゆらと視線を合わせないようにあらぬ方向を見ている、逃がすか。
「成宮さん。」
「なっ…なに?!」
「次の契約更新の話お願いします。」
「う…うん…。」
「降谷は明日の午後6時まででいいからパワーポイントを完璧にしてきて。」
「…わかった。」
そそくさと逃げていく二人を見送り、出ていったのを確認するとザッと御幸の方へ視線を投げつけた。
この会社に入社して初めてマジギレをした俺にらしくなく少々戸惑っている御幸は頻りにファイルの山へ表情を隠そうとする。

「御幸。」
「な、なに?栄純。」

ツカツカと歩み寄って横に立ってもまだ合わない目線。
イライラする。
勝手な事ばかりするこの眼鏡も、やんややんや言って状況をややこしくする課長も、なにかにつけ社長に喧嘩を売って騒ぐ雑用も…ようやく自覚した自分の気持ちにも。
「っ…?!」
さっきやられたようにネクタイを引っ付かんで無理矢理こっちを向かせると、驚きに滲んだ蜂蜜色とぱちり目が合う。
それに小さく安堵してふわり、勢いのまま頭を胸に抱き込むと御幸の肩が大きく揺れた。
「えいじゅ…。」
「俺、アンタが創ったこの会社が好きだ。」
「………。」
「なんだかんだ文句付けてるけど、やっぱり今の仕事が好きだし、満足してる。」
「…そっか。」
「…ついでにさっき気付いたけど、アンタの事も好きだよ。」
「そっか……………………っておぉぉぉぉ?!」
がばっといきなり顔を上げてきた御幸と目を合わせる。
果てしなく腹は立つし認めたくない…が、この際仕方ない。
「けど、俺この会社が好きだから、ちゃんと仕事してほしい。俺にばっか構ってないで、ちゃんとやれる事やれよ。」
「………。」
「俺、アンタの仕事してる姿が好きだし。」
「じゃあ頑張ったら俺の嫁になってくれんの?」

そうきたか…。

「…秘書は辞めない。仕事とプライベート公私混同しない。ちゃんと自分の仕事を真面目にやる。……これが守れんなら、なってやってもいい。」
ぽかん…と呆気にとられた御幸の顔を見ていると段々顔が熱くなってきて恥ずかしい。
けど仕方ない、この会社の為だ。
「…っ!栄純!」
がばっと抱き着いてきた御幸に、俺は人生を覚悟した。
「絶対幸せにするから!」
「…期待しないで待ってる。」
「式はスペインとオランダどっちがいい?!」
「もう結婚の話かよ!」
「とりあえずヤるか。」
「仕事しろぉぉぉぉ!」



よりなによりまず仕事しろ



とりあえず…すみませんでしたぁぁぁぁぁあ!;
なんだかグタグタ感が否めないのと、一回データ全部消えたから書き直してガタガタ文章に…腹切れ貴様ですねすみません!;
相互サイト様のタマキ様のイラストを見て書きなぐったのですが…ダメですね、激しく文才が欲しいです。
タマキ様のイラスト素晴らしいのに私の話のせいで価値が下がりました、ホント申し訳ないです!;
けどこれ一応半日かけたので…上げさせてください…orz
さて、話の中で出てくる『ブラオコーポレーション』のブラオとは、独語で『青』という単語だそうです。
普通に英訳の『blue』じゃおもしろくないかなと捻ってみたんですが、corporationが英語なのに独語っておかしい事に気付きましたε=⊃)д`;){ゲフッ!)
因みに何故独語かというと管理人が某擬人化のゲルマン大好きだからです←いらん情報
タマキ様!;
いきなり変なもの書いてしまいすみませんでした!;
不快でしたら直ぐ消しますので!;
スライディング土下座しますので!;
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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