秀徳高校の我らがバスケ部は王者なんていわれてるけど、高校自体は案外普通。
普通ゆえに、普通にみんなが嫌うイベントとか行事とか企画とかもある。
例えば、実力テストとか。

「やばい」
「めんどうだなー」
「テストぐらい面倒なわけないだろう
「前も赤点ギリギリだったんだよな、補習あんのかよー」
「いやいや。でも実力テストって成績入らないし、まぁいいか」
「だからお前は駄目なのだよ」
「補習あったら、部活でれねぇじゃん」
「緑間、帰り本屋寄りたいんだ。付き合ってよ」
「いいだろう、今日のかに座のラッキーアイテムは小説なのだよ」
「監督と主将にどやされんだろーな」
「今現在、持ってるんだからあんまり関係なくね?」
「ラッキーアイテムは量があるほど、運勢は強くなる」


「俺が遠回りに勉強教えて!って言ってんだから、二人して避けてんじゃねええええ」

いきなり何だよ。
私と緑間が楽しく会話を繰り広げているのに、いきなり大声をだすこの男は。

「あぁ、馬鹿か」
「だから困ってんだよ!」
「そんな馬鹿なありのままの高尾が好きだぜ」
「どや顔して言うな!」

はああああ、とため息をついて自分の顔を押さえる自分の馬鹿を認めた馬鹿。もとい高尾。
ため息つきたいのはこっちだよ。
緑間も含めて、こっち側の人間が一番つきたいんだよ。

「頼む!勉強教えて!」
「だって緑間」
「高尾は今、苗字に頼んだ」
「そんな馬鹿な。あ、馬鹿は高尾か」
「人の傷口えぐるんじゃねえ!」

ちら、と緑間を見れば緑間も私と同じ事を思ったのか、ばっちりと目が合った。

「緑間も一緒に来てくれるなら私はいいよ」
「俺も苗字が着いて来るなら構わん」
「お前ら、二人とも俺のこと嫌いだよな絶対に」


嫌いじゃないって。じゃあ何でそんなに嫌がるの。いや、緑間と二人きりの方が高尾はいいのかと思って。さっきと言ってること違うだろ、明らかに緑間に来て欲しがってただろ。だって馬鹿を私一人に押し付けられたみたいで嫌じゃん!ストレートにひでぇ、コイツ!お前ら、さっさと図書室に行くのだよ!






「え、これは?」
「それはこの公式に代入」
「んー・・・?」
「それは違う、xじゃなくてy」
「おぉ」


「うー」
「うーとか言わない、そんでここ違う」


「ここは文法そのものが独立している」
「あ、なるほど」
「だからここは、こうなる」
「おう」


「はあー」
「まだ休憩ではない、これは疑問文だ」


理数系は私で、文系は緑間で、それなりに高尾の理解力を高めてやったと思う。
ていうか緑間怖い。無表情で教えてるから、高尾が怒られてるようにしか見えない。
とりあえず・・・。

「よーし、帰るかー!」
「何で苗字が一番疲れた顔をしているのだよ」
「いやー!まじで助かったわ、っていうか二人とも分かりやすっ」
「緑間照れちゃうから、そういうこと言わないほうがいいよ」
「やめろ」
「何か奢るぜ、何がいい?」
「んー、ジャンケンなしでチャリこいで欲しい」
「えげつねぇな」

なんて言いながら屈伸とかしてる高尾を見て、体育会系だよなコイツなんて思った。
高尾に勉強とか似合わないから!
でも学業が学生の本分なのはもちろん私にも、他の誰にでも変えられない。

だからこそ頑張れ高尾、なんてね。



(にしても、二人とも順位どれくらいなの?)
(一桁)
(二桁)
(・・・まじ?)
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