「黄瀬」
「何スか、名前ちゃん」
「キャプテンのタオルが行方不明だって」
「?・・・そ、それはお気の毒に」
「そうじゃなくて、各自自分のバッグ確認するように言われた」

俺の言葉に呆れたかのように、ため息をはきながらそう言った目の前の女子はマネージャー。
苗字名前ちゃんって言って、俺の想い人。
ちなみに、ちょっぴりツンデレなところも魅力っス!

「でも俺入れた記憶ないっスよ」
「見てみてってば。黄瀬がヤらないなら私がヤっちゃうよ?」

そう言って、まっすぐ俺の目を見る名前ちゃん。
なんていうか、なんだか・・・、こう・・・ねぇ?
男としての何かが、こう・・・。
まぁ女の子の名前ちゃんには分からないと思うんスけど。

「あー、ほら。ないっスよ」
「あ、そのタオル・・・・・・」
「何スか?」
「誰かが使ってたような気がする」
「!俺が盗んだって言いたいんスか!」
「いや、そうじゃなくて。全然関係のない話で・・・。あ!思い出した」
「?」

「オナチュウだった子が使ってたんだった」

・・・・・・。
ごめんね、名前ちゃん。俺は駄目な男だ・・・。
最低で変態な男だ・・・、

一人もんもんと落ちこんでいる最中、キャプテンが部室に戻ってきた。


「わりーな苗字、森山が間違えて入れちまったみたいだった」
「あ、いえ。大丈夫です、見つかって何よりです」
「おぅ、さんきゅう。でもわりぃな。なんか奢ってやるよ」
「え」
「ほら、何でも言ってみろって!」
「じゃあ、キャプテンのお弁当のオカズ分けて下さい」

・・・・・・!
うわああああああ、俺もう馬鹿じゃないスか!
変態通り越して、ただの馬鹿じゃないスか!
本当に自分が気持ち悪い!おええええええええ

「そんなんでいいのか?」
「あ、それか肉マン」
「ははっ、じゃあコニビニ寄っていくか」
「ありがとうございます!」

うわあああああああああああああ
やめろおおおおお、俺の思考動くなあああああああ!
そして名前ちゃん、とりあえず黙って!
キャプテンはキャプテンで何、普通に会話してんスか!


「黄瀬、どうしたの?顔赤いよ、熱でもある?」
「あ、名前ちゃん・・・」

「大丈夫?」と心配の言葉をかけながら、俺のおでこに自分の手をあてる名前ちゃん。
そうしたら、少し困ったように


「黄瀬、すごく熱い・・・・・。こんなになるまで我慢してたの?」


と、確かにそう言った。



(うわああああああんっ!名前ちゃんの馬鹿ー!)
(え、何々?)
(ほっておけ苗字)
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