「俺、お前が好きだ。多分ずっと前から、名前が好き」

もう後には戻れない。
緑間に言われた時点で、戻る気なんてサラサラないけど。


「え・・・?」
「気づいたのは最近だけど、よく考えてみたらずっと前から好きなんだと思う」
「あの・・・」
「この前に告られたやつはやめとけ
「・・・応援してくれるって言ったじゃん」
「名前がアイツのこと好きなら応援する、好きじゃないならやめとけ」
「・・・」
「そんで、俺にしとけって」
「か、和成・・・」


俺、相当すごいこと言ってんじゃね?
後で名前に馬鹿にされるな。
いや、でもコイツ馬鹿だから大丈夫か。
あ、俺のほうが馬鹿か。

だって、そんな馬鹿が好きだから。


「どう?」
「あ、あのさ」
「ん?」
「言ってなかったんだけど、この前の人は断ったよ」
「なっ」
「『好き嫌いじゃ言えない、貴方のことは知らなすぎるから』って」
「まじかよ・・・」


その言葉を聞いて、俺の足の力が抜けて思わずしゃがみこむ。
だったら、あんなに心配する必要もなかったし、こんなに急がなくても平気だったんだ。
少し、恥ずかしいような。


「少し話して分かったんだけど、向こうは私のこと知らないし私も分からない」
「そう、なんだ」
「うん、どんな人かも分からないのに好きも嫌いもないよね」
「あぁ、そうだな・・・」

なら、俺は?
俺はお前のこと少なくともソイツよりは知ってるだろうし、名前だって・・・。


「でも和成は違うね」
「え?」
「和成は誰よりも私のこと分かってくれるし、私も他の子よりは和成のこと知ってる」
「名前、」

「あの人のことは分からないから、何も言えなかった。
でもちゃんと知ってる和成なら、答えられるよ」

しゃがんでいる俺に視線を合わせるため、名前もしゃがんで俺の顔を覗き込んだ。
久々にちゃんと目を合わせた名前の瞳はいつもより真っ直ぐ俺を見ていた。





「好きだよ。もちろん、好きか嫌いかで言わなくてもね」

「・・・・・・!」


恥ずかしそうにニコっと笑う目の前の幼馴染に初めてクラっときた。
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