学校中を、とにかく走り回った。
名前が居そうなところを片っ端から探しまくって、試合の時よりも走ってんじゃないかってぐらいに。

そして、管理棟の二階の廊下を早めに歩いているとき、いつものアイツの背中が見えた。


「名前っ」
「、和成?」
「やっと見つけた・・・」
「ご、ごめん。先生に資料運ばれてるように頼まれて」

そう言った名前の腕には広辞苑一冊分くらいの紙があった。
何でコイツは何食わぬ顔で持ってるんだよ。

「手伝う」
「・・・ありがとう」

どうせ此処で、名前の持ってる全部の量を取ったらコイツは怒る。
つーか、申し訳なさそうな顔をする。
だからわざと全体の四分の一ぐらいを残して、残りを全部奪った。

「さっき、やっと見つけたって」
「あぁ、言いたいことがあってさ」
「私もあるんだよね」
「先いいぜ」
「・・・しばらく和成から逃げ回っててごめん」
「本当だよ。目も合わせてくれなくて俺、泣くかと思った」
「そっちだって、私見つけた途端に道変えたじゃん」
「・・・わりぃ」
「いや、私もごめん」

そう、口では謝ってるのに何故か名前は嬉しそうだった。
そして、俺も何故か笑っていた。

「和成は?」
「俺が今から言うことに、名前は困るかも知れない。それでもいいか?」
「・・・?」


例え、名前がどんな答えを出したとしても俺たちの関係はきっと変わる。
気にしなくていいって言って元の関係に戻るなんて、そんなの漫画だけだろ。

だから、俺は今から自ら名前との関係を壊そうとしてる。
正直、コイツと気まずくなってもう話が出来ないなんて嫌だ。

でもやっぱり、名前が他の男の隣で笑う姿なんて見たくないんだ。

緑間の言う通りに、後悔はしたくない。
やればよかったって後悔するのは、一番かっこ悪いだろ?
なぁ、名前―――。







「俺、お前が好きだ。多分ずっと前から、名前が好き」
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