13.5 [ 1/2 ]


クイズ研のスタンプラリーの表彰が終わり、宙吊りにされていた皆が降ろされた場所に赤司くんと行った。


「都遥!?なんなのその荷物!」
「ふふふー内緒!」


私が抱えるのは白い巨大な袋。


明らかに落ち込んでいる大輝と涼太は、生気が無くなったみたいにボーッと空を見ていた。

そんなにバッシュ欲しかったのかな?

参加賞でもらった紙パックのジュースを飲んでいたテッちゃんが西の空を見て「あ」と口を溢した。


「皆さん、良かったらついてきてもらえますか?」


テッちゃんに連れてこられたのは校舎の屋上。


「僕が大好きな景色です。この景色を知ってるのは、たぶんボクだけだと思います」
「わぁ…」


テッちゃんが見せたかった景色。それは、夕暮れの町並みだった。

建物と建物の間に太陽が沈んでいく。

私達はじっとその光景を見つめた。


やがて朱色に染まっていた町は薄い青色に姿を変えた。
絶景、と呼ぶのに相応しい景色に表情を取り戻した大輝と涼太を確認して、私は皆が張り付くフェンスから離れた。


「こんな素敵なプレゼントをくれたテッちゃんに続きまして、ワタクシからも皆さんにプレゼントがございまーす」


皆は一斉に振り返って、私に注目した。
コホン!とわざとらしく咳払いをして白い袋から中身の一部をバッと勢いよく取り出した。


「じゃじゃーん!レブロンのバッシュ8人分!!」


予想外の出来事に皆それぞれ驚いて袋の周りに集まった。
袋から色とりどりのバッシュを取り出して全て並べる。


「実はね、クイズ研の賞品係の子って第4ゲームの借り物の時にいた女の子らしいの。
その子の実家がバッシュを取り扱ってるお店で、私達のやり取りを見てたら楽しくて、応援したくなったんだって!で、優勝したのがその内の二人だったし、どうせなら人数分を用意してあげたいって思って、わざわざ連絡取って、色や型は違うけど何とかレブロンのバッシュ用意してプレゼントしてくれたの!」


並べたバッシュを手に取って隅々まで見て、隣と交換してまた見る。
嬉しそうに感想を言い合う皆を見てると、自然に笑顔になった。


「ま、プレゼントは私からじゃなくてその女の子からなんだけとね」


はは。と笑って頭をかいた。


「そんなことないっスよ!都遥っち達が優勝してくれなかったらコレもらえなかったんスから!」
「そうだぜ、ありがとな!」
「青峰、黄瀬、紫原は明日からのフットワークおかげで早く慣らせるな」
「「「…」」」
「赤司くん…喜び奪うようなこと言わないでよ…」


三人がバッシュを持った腕をボトッと落としてうつ向いた。


「確か都遥もやるんだったか?」
「あー赤司くんっていつでも正しいよね!うん!」


若干罪悪感を感じたが、普段ですら見てるだけで吐けそうなフットワークを、しがないただのマネージャーの私が3倍なんて…出来るわけがない。


「ままま、三人とも顔あげてよ!明日はちみつレモン作ってくるから!」


それを聞いて少し復活した三人に、さつきが「じゃあ私も」と言ったのを私と大輝で全力で止めて、それを見たテッちゃんが吹き出す。

めったにそこまで笑わないテッちゃんに涼太も笑いだして、どんどん連鎖して最後には皆で笑った。

肌寒くなった空気が、冬を予感させる。

いつまでもこうして、何気ない事で笑いあっっていたかった。










13.5:探さなくてもあるもの



→あとがき
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