07.5 [ 1/2 ]
「…………」
「…………」
ジェットコースターに乗ってくるという都遥と黄瀬を見送って、赤司と二人でベンチで待つ。
赤司は隣で本を広げてる。
何読んでんのか見てやろうと思ったが、タイトルが読めなくて断念した。ベンチに両手をつき、空を見上げてため息をついた。
「どうした青峰。あんなに都遥と出掛けたがっていたのに随分楽しくなさそうだな」
「オレは都遥と二人が良かったんだよ。それを便乗して二人ものこのこ着いて来やがって…」
「それは悪かった」
「思ってねーだろ」
「思ってるよ」
本から目線を一度も離さない辺り、反省しているとは到底思えない。
「お前も好きなんだろ」
「何の話だ」
「とぼけんじゃねーよ、都遥に決まってんだろ」
「さぁ?どうだろうな」
「…ふーん」
「…」
キッと赤司が目だけを動かしてこっちを見たのが分かる。オレも上を見上げたまま目だけを赤司に向けた。
「認めるまで問い詰めると思ったか?」
「あぁ。また隣でうるさく吠えられると思ったよ」
…犬かよ。
「言っても言わなくてもオレには関係ねぇしな。あんなあからさまにアピールしてる黄瀬ですら都遥はあんま意識してねんだぜ?」
「…何が言いたい」
赤司はしおりを挟んで本を閉じた。
「こんなところで静かに座ってるオレたちは今、あの鈍感女に友達としか思われてねぇってことだ」
自分で言ってて虚しくなるわ。
「そんなやつらがあいつをどう思ってるかなんて話し合ったって意味ねーだろが。お前がはぐらかすんならはぐらかすで別にどーでもいい」
「…青峰が考えてから発言するなんて珍しいな」
「どーゆう意味だコラ」
「はは。すまない、蔑んだつもりはなかったんだけどね」
「どう考えても悪口だろが!」
口ではどーでもいいと言ったが、正直全く気にならないと言えば嘘になる。
黄瀬はバカだからほっといてもいーけど、赤司は何するか分かんねー。
07.5:重要な情報