07.5 [ 2/2 ]


「青峰は知っているのか?」
「…何を」
「黄瀬が都遥に告白したことだ」
「告白!?黄瀬が!?都遥に!?」
「あぁ」
「あいつ、いつの間に…!」


それより、なんで赤司がオレにそれを教えんだよ。


「待てよ…告白してて気まずくなってねぇってことはまさか、付き合っ」
「てはいない」


赤司の否定の言葉を聞いて胸を撫で下ろした。が…


「なんでお前が知ってんだよ」


黄瀬や都遥が話すとは思えねーし…


「更に重要な情報とオレが知っている理由、どちらを聞きたいかな?」
「…重要な情報」
「青峰が賢くて助かるよ」
「…」


こいつオレのことバカにしてんだろ。


「黄瀬が都遥に告白したにも関わらず、二人の関係が壊れていないのにはわけがある」
「もったいぶらずに早く言えよ」
「黄瀬は告白と同時に、ある条件を自ら提示した」
「条件?なんだよ」
「それは…」


赤司がいかにも何かを企んでいるように怪しく口角を歪めた。


「“いつか青峰を倒したら付き合ってほしい”と」
「な…んだよそれ…!」
「だから二人は付き合っていない」


頭が追い付かねー…。

黄瀬が都遥と付き合うために約束した条件がオレを倒すこと?

ということは…


「お前が黄瀬に負ければ、その時点で都遥が黄瀬の彼女になる可能性があるということだ」
「ハハ、マジかよ…!」


額から汗が一筋顔をつたった。

やたら黄瀬が1on1挑んでくんのはそういうことかよ…!


「絶対負けらんねぇ…」


拳をぎゅっと握った。


「ちなみに都遥はオレがこの件を知っていることを知っている、黄瀬は気づいてないだろうが」


つくづくこいつは何かんがえてんだか分かんねー。けどまぁ、オレが黄瀬に勝ち続けりゃいいんだ。

元々負けてやるつもりなんてなかったけど。


なんにしても要注意は赤司。

こいつが何を考えてこんな行動をしているのか、オレには理解出来ねー。

なら今は…


「っはーーー!!大輝、赤司くんおまたせ!」
「おー」


素直に楽しむしかねーよな。

スキップする都遥と口を押さえてフラつく黄瀬。


「おかえり。ジェットコースターはどうだった?」
「楽しかったよーグルッグル回るし早いし上がるし落ちるし!ね、涼太」
「…う、うぷ」
「…涼太?」
「都遥っち強すぎ…オレ…もう、無理…ぅっ」
「ちょわあああ!待って待ってトイレ行ってええええええええ!!」


やっぱあいつはバカだ。

本当にバカだ。


「ちょっと休憩させて下さいッス…当分動けない…」
「お前このあとどうすんだよ!」
「じゃあオレがここで黄瀬を見ておくから、二人はどこか行って来たらいい」
「そんな、悪いよ。赤司くんまだ何にもしてないのに」
「いいよ。言っただろう、乗り物に乗りに来た訳じゃないから気にしなくていい」
「でも…」
「本人がいいっつってんだから行こうぜ」
「わっ」


どうせ赤司はオレと黄瀬を見張りにでも来たんだろ。


なのにオレと都遥を二人にさせたのはなんか意図があるのか、それとも余裕の現れなのか…。


ま、どっちでもいいか。

とりあえず今は、こいつとの時間を楽しむことにしよう。


「…だってさ!当然…」
「やるしかねぇよな!」


休みの日までバスケするとか、自分でもどんだけ好きなんだよと思ったが、ぬいぐるみを嬉しそうに抱きしめるこいつが見れるなら…悪くないかもな。



20120903 玄米
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