君が隣にいれば他に何もいらない [ 1/2 ]


「…っ!!」
「ん…?どしたの真ちゃん…」


ガバッと起き上がった真ちゃんに目をこすりながら寝ぼけ半分で声をかける。枕元の時計を確認すればAM3:40。遅刻だー!という展開ではなさそうだ。浅い呼吸を繰り返す真ちゃんが私を見て強ばっていた表情をゆるめた。しばらくして落ち着いたのかぽふりとベッドに沈められた体と珍しく向かい合う。普段は恥ずかしがってあまり顔を向けてくれないのに。じぃっと見つめられてこっちが恥ずかしくなってくる。


「本当にどうしいだだだだだ」


真顔でほっぺを引っ張られて痛みで急速に目が覚めた。ぺち、と手をはたいて自分の頬を撫でる。真ちゃんはその手を行き場がなさそうに遊ばせた後、癖なのか眼鏡もないのにブリッジをおしあげる仕草をした。


「…なにするんだこのナイトキャップお化け」
「なんだそれは」
「こっちが聞きたいわ!」


悪態をついてぐるりと体を回転させ真ちゃんに背中を向けた。真ちゃんは機嫌をとるように私の髪を撫でて「すまない」と一言ささやくと後ろから優しく抱き締めた。


「夢を見たのだよ」
「夢?」
「あぁ」


こんなんで機嫌直らないから!とは思いつつも、嬉しくて顔がにやけてしまう。こんな真ちゃん本当にレアだ。忘れないように脳内チップにきちんと刻み込まなければ。

その日は、久しぶりに名と出掛け、公園を歩いているとバスケットボールが転がって来て足に当たった。それを拾い上げ転がった道を辿ると高尾が遠くで何かを叫びながら手招きをしている。


「よっ真ちゃん、名ちゃん!デート?」
「うるさい」
「高尾くんやっほー!ラブラブデート中でーす」
「余計なことを言うな」


意地悪く笑う高尾にボールを押し付けその場を去ろうとしたが「ちょっと待った!」と両手を広げて止められた。


「今さ、皆あそこのコートで試合してんだ。真ちゃんもやってけよ!」
「皆?」
「秀徳に桐皇、あとは誠凛と神奈川から海常も来てんだぜ。行くしかないっしょ?」


高尾が指した先には3on3真っ最中のお馴染みの面々が見えた。チラ、と名を見ると目が合いにらみ合いのような硬直状態が続いた。


「…はぁ。久しぶりのデートだったのになぁ」
「今度はオレとデートしてよ、名ちゃん」
「高尾」
「そだね、彼女よりバスケ優先する真ちゃんより高尾くんとのデートの方が楽しそうだし」
「名!」
「「冗談でっす」」
「…」


だいたい誘ってきたのはお前だろう高尾!


 
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