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「赤司くんてさ」


私の寝起きはとてつもなく機嫌が悪い。起きてから少なくとも2時間は機嫌が悪い。だから普段から他の生徒より登校時間は早めにしている。
一度、寝坊して授業ギリギリに着いた時にはガヤガヤと騒ぐ声に耐えきれず、眉間にシワを寄せていた。なんとか教室に着きクラスメートに開口一番「5、6人殺ってきたの?」とか物騒なことを言われた。
だから私の朝は早い。登校は学校で一番…だった、昨日まで。


「汗かかないよね」


前の席に座り本を読む彼の赤い髪が朝日に照らされて凄くキレイで、絵になるってこういうのかーなんて思いながらその髪にさらっと指を通した。


「あ、ごめん、つい…」


パタンッと本を閉じた音で現実に一気に引き戻されて、慌てて腕を引っ込める。


「つい、なに?」
「え?いや、あのー、赤司様が大変美しくあらせられましたので、私の汚い手が勝手に動いてしまって触れてしまったで候う。悪いのはこの手であって私ではないというかつまりそういう事であります」
「…日本語で喋ってくれるか」


本を閉じる音が大きくて、怒らせたかと内心ビクついたがどうやら違ったようで安心した。赤司くんは律儀に本を机の角に置いて机に頬杖をつき、足を組む。
唐突な質問にぐちゃぐちゃの日本語で返した私を、赤司くんは上品な仕草でクスクスと笑った。


「何しても絵になりますな…」
「?何の話だ」
「ヒトリゴト」










01:だけの話だろ?


 


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