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芸術の、読書の、スポーツの、食欲の、秋。


「秋と言えばやっぱ…」


いろいろ言われておりますが、私の周りはコレ一色。


「恋だよね〜」
「……」


放課後のファミレスの一角。久しぶりの部活のオフを聞き付けた友達5人に半ば強引に連れ出され、今ここにいる。各々がドリンクを飲みながら恍惚の表情で声を揃えたが、私は頬を染める皆を興味無さげに半目で捉え、ストローに息を吹き込んでドリンクの表面からボコボコと音をたてさせた。ここに真ちゃんがいたら確実に「行儀が悪い」と怒られていただろう。


「…私を呼んだワケは?」


雑にテーブルへ置いたコップの氷がカランと鳴った。


「そんなの決まってるじゃない!」
「「「「「もちろんキセキの世代のお宝話を聞き出すためよ!」」」」」
「不純だけどここまで言い切られると寧ろ潔い!でもそういうのないんだってば〜」


逃げ出さないよう、私の左右を座って塞いだ二人が「そんなわけないでしょうが!」と両側から私の頬を引っ張った。


「らっれろんろりううーろおろいららいんらおー(だってホントに普通の事しかないんだよー)」
「キセキの世代と気兼ねなく話せる女子なんて都遥とさつきぐらいだよ」
「自分がどんだけ貴重な立場にいるか分かってる!?あのキセキの世代が選り取りみどりだなんて…」
「「「「「キャ〜〜〜!!」」」」」
「勘違いも甚だしいわ」


机を叩いたり、ソファーを叩いたり、足をジタバタさせたり…暴れる5人に苦笑した。


「てか“ご主人様赤司くん”の原因の都遥の日常が普通の事しかないワケないでしょ!結局あれはなんだったの!?」


机から乗り出して興奮気味に詰め寄ってきた顔をグッと押し返した。

“ご主人様赤司くん”
意味:学園祭における赤司くんの私への一連の言動の総称。
備考:普段のクールで知的な赤司くんのイメージを覆すこの出来事は人から人へと語り継がれ、今ではこのワードを知らない帝光中の女子はいない。


「あー…あれについては“統括のお仕事の一貫”だそうです」


間髪入れず「はぁ?」と返した皆の反応も当然だろう。
なんせ私も本人から聞いた時は同じ反応をしたのだから。










14:どうする、キセキ…!


 


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