09 [ 1/3 ]


「…っ…どうしよ…」


8月最終日。そして、夏休み最終日。つい先日、我々帝光中学バスケ部は今年の全中も優勝という形で幕を閉じ、それまで全く休みがなかった分、今まとめてやってきた少し短い夏休みを満喫している。…いや、必死に勉強している。…いや、必死に宿題を手伝っている。1学期の最後に配られた予定表で、既に決まっていた夏休み最後丸々一週間の休暇。その1週間で全ての宿題をこなせばなんとかなんだろ、と全く手をつけていない肌が黒いバカが1人。自分の好きな教科だけ終わらせて残りは放置のお菓子大好きっ子が1人。まんべんなく中途半端(初期段階)なクソモデルが1人。この3人の面倒を見るため、テスト勉強で集まっていたメンツがまた顔を揃えていた。私はすっかり行き慣れてしまった青峰くんの家の玄関の前で呼び鈴を鳴らそうと指を伸ばして、引いた。


「これは…酷い、よねー…」


改めて自分の格好や持ち物を見直す。服は全体的に薄汚れてところどころ裂け、靴は片方なく、数ヶ所血が滲んでいた。そんなのはどうにかなるとして、酷いのは…


「これは…ないわー」


肩から提げた鞄に入れていた包みを確認する。昨日キレイに包装したはずのそれは、形を崩して包みの中で潰れていた。


「やっぱ帰ろ…」


メール入れときゃ大丈夫でしょ、と来た道を戻ろうと通りに出て靴がないほうの足を庇うために壁に手を付きながら歩いていると、正面からのんきな歌が耳に入った。


「汗を〜かいて〜シャララ☆ガムシャラ〜今が…」
「げっ」
「?…っハル!?どうしたんスかその格好」


こんな格好見られたくないと電柱の影に隠れようとしたけど、全身が収まる訳もなく、あっさり涼太に見つかった。










09:誕生日おめでとう!


 


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テーマ「人外ファンタジー」
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