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「この話をして、皆から見放されるのが怖かった。今の楽しい毎日を失うのが怖くて、ずっと言えなかった」
「…………」
「本当に…ごめんなさい」


ゆっくり頭を下げて、ギュッと目をつぶると、マネージャーになってからの思い出が走馬灯みたいに流れて涙が滲んだ。


「お前…ふざけんなよ」
「ごめん、大輝。一番付き合い長いのにずっと騙してて…自分でも最低だと思」
「んな事はどうでもいいんだよ!」
「…は?」


じゃぁ何に怒っているんだ。思わず目を開けると同時に頭をあげた。


「こんだけ一緒にいたのに、こんな話聞いたくらいで都遥を見放すと思われてた事に腹立ってんだよオレは!!」
「大輝…」
「一発殴らせろ」
「えぇっ…!?ぎゃっ」


大輝はボキボキと指の関節を鳴らすといつもやるみたいに脇に私の頭をホールドして、こめかみにゲンコツをぐりぐりした。


「だっ大輝!?いだっいたたた!ってかこれ一発!?」
「あ?もっとキツくしろって?しゃあねぇなー」
「うがぁぁぁぁギブギブギブギブ!突き破る!こめかみ突き破るから!…っ」


こんな話をしたのに日常通りの振る舞いに安心したからか、ボロボロと大粒の涙が溢れた。


「あー!青峰っちが都遥っち泣かしたーーー!!」
「えっちょっ都遥!?んだよそんなキツくしてねぇだろ!」
「さっき自分で“もっとキツく”って言ってたのはどこの誰かッスか!?」
「こんくらいしかしてねーけどなぁ黄瀬クンよぉ?」
「あーだだだだなんでオレにゲンコツするんスか!しかも超痛いし!!」


じゃれ合う二人を見て、ふっと口元がゆるんだ。


「やっと話したな」
「…どういうつもりだったの?気付いてたんでしょ、私がバスケしてたの」
「体育での球技の動きでだいたいね。でもバスケの授業になるととたんに鈍るからおかしいと思っていた」
「そんなんでバレるのか…怖いな」
「それで、話してみた今はどうだ?」
「なんかバカバカしい」
「はは」
「人が真剣に話して真剣に謝ったのに、その本人ほったらかして暴れ始めるとか信じられない」


未だ取っ組み合う二人に呆れた視線を送る。


「あの二人は先のことなんか考えずに生きてるからな」
「…だね」


二人丸ごとギュッと腕を回して抱き締めて小さくお礼を言った。


「都遥っちからハグ!?」
「たまにはいいでしょ?」
「常に大歓迎ッス」










20:教えてくれよ


 


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