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晴れ渡った空がいつもなら気持ちいいはずなのに、今日はとても熱く感じる。それは気温のせいではなく少し前からどっと上がった私の体温がそう感じさせているのかもしれない。


「たったつ…やさん…」
「都遥?どうかした?」
「めっちゃ見られてます!」
「そうだね」
「そうだね!?」


昨日、突如辰也さんと二週間二人で生活すると聞かされ、すぐに順応出来るわけもなく。(私だけ)ギクシャクしていたところに学校から連絡が来た。内容は「明日の朝の部活を休んでいいから氷室君を学校まで案内してきなさい」というもの。学校側とは両親がホームステイ先にウチを勧めた時に連絡を取っていたらしく、だいぶ前から決まっていた事なんだと知る。要するに知らなかったのは私だけ…。なんでそういう大事なこと言わないかなあの両親は…!!私にも心の準備とかいろいろあるのに!だいたい自分達が家出る直前に私に伝え忘れたの気づくって何事!?…最後はちょっと話が逸れたが、とにかく私は先生に言われた通り辰也さんと二人で登校中。

だが私は一つ大きなミスをした。同じ屋根の下で辰也さんが寝ている事にガチガチに緊張して寝付いたのが朝方。そして、あろうことか辰也さんに「そろそろ起きなくて大丈夫?」と起こされるまで完全に熟睡していた。時計を確認すると急がなくても授業には間に合うものの、確実に人が多い時間帯に学校につく時間だった。正直、辰也さんの声で起きられたのが幸せすぎていつもより機嫌はいいんだけど、頭が覚醒しきってなくて玄関を出てすぐ躓いた私を心配して辰也さんが手を繋いでくれた。そして手を離すタイミングを掴めないまま学校の校門を越えてしまった。私達を見るたくさんの目。けろっとしてる辰也さんは手を離す気が全くないようで、私が手を引き抜こうとしたら逆に力をこめられた。


「たたた辰也さんっほんとダメですって!変な噂流されちゃいますよ!」
「変な噂って?」
「つ、…付き合ってる…とか」


じっと私を見つめた辰也さんから目をそらして赤くなる頬を押さえ言った。


「オレは嬉しいよ」
「え?」
「都遥がオレと付き合ってるって噂されるの。都遥は嫌?」
「嫌じゃないです!むしろ有難いですけど…辰也さんモテるのに、私なんかと付き合ってるって勘違いされたらもったいないかなって。告白しようって思ってた子もやめちゃうかもだし…」
「…オレは都遥との噂だからして欲しいんだよ」
「私だから?どうしてですか?」
「…うーん…こういう事に関して都遥は本当に鈍いというかなんというか…」
「ええっ私鈍いですか!?」


そんなバカな!と言わんばかりの私の返事を聞いた辰也さんは苦笑いを浮かべた。


「それに好きな子以外からされる告白なんてどうせ断るんだからどれも一緒だよ」
「Ohー…モテ男の名言ですね」
「なにそれ」


気が抜けてカクッと肩を落とした辰也さんと結局下駄箱に着くまで手を繋いでいた。正直、辰也さんと恋人同士の気分になってニヤニヤしっぱなしだった。本当に辰也さんと『付き合ってる』なんて噂が流れたら嬉しすぎて生きていられる自信がない。周りからの冷やかしの目を全身に浴びながら、職員室に寄るという辰也さんと別れ自分の教室へと向かった。










16:お姫様


 


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