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全国大会に出るには地区予選一回戦から勝ち続けた猛者ばかりが集まる。はずなのに…

全国大会一回戦 131-32

圧勝。


「都遥、そんな固まっちゃってどうしたの?もしかして緊張してる?」
「さつき…」
「だーいじょうぶ!いつもと同じように応援頑張ろ!」


勝ったはずなのに、嬉しいはずなのに、漠然とした何かが心をすっぽり包み込んでいて気持ちが悪い。


「見てたッスかオレの活躍!」
「あぁ、うん」
「お前いつもそればっかだな」
「青峰っちだっていっつも同じようなこと言ってるじゃないスか!」


ビーとブザーの音が鳴る。隣のコートも試合が終了したようだ。ギリギリまでコートを走り回っていた選手達が一方では泣き崩れ、一方では抱き合って、どちらの学校の応援からも拍手が鳴りやまない。ああいうのを見るとホッとする。ここに来るまでとてつもない努力をした中学生の反応は、本当はあっちが正しいんだろう。“百戦百勝”が理念の帝光は、負けることは許されない。試合の話は全て勝つことを前提とされ、負ければ問答無用で降格。皆勝ったことを喜んではいるけど、どこか他のチームより冷めていて…それが何なのか具体的に説明は出来ないけど。勝つことが全て。その言葉がぐるぐる脳内を巡る。足早に荷物をまとめコートを去りながらもう次の試合の話をしている皆の背中が、なんだか遠く見えた。










08:そのままで


 


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