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ガタンッ


「ふわぁあああっ!」
「へぇ、こういう仕掛けなのか」


このお化け屋敷は、止まらず歩き続けても30分かかると受付のお姉さんに説明された。最初は機械の簡単な仕掛けから始まってどんどん複雑な仕掛けになり人まで出てくるようになるらしい。まだ入って3分…絶望的に怖い…!体を小さく丸めてビクビクしながら、なんとか数歩前を歩く赤司くんに置いていかれないよう着いていく。

………………ぴちょん


「ひゃぁぁああああああっ赤司くんんんんんんん!!!!」
「どうし…っ!」
「肩にいぃぃいい!肩に何か当たったぁぁぁぁあああ…!」
「…都遥、…大胆だね」
「…」


私は、この薄暗闇の中で赤司くんを、押し倒し、首に手を回し抱きついていた。


「おわあああぁぁぁ!ごめん!」


我に返って両手をあげながら体も起こした。


「構わないけど…この格好の方がオレには危なく見えるよ」


改めて状況を確認する。押し倒した赤司くんのお腹あたりに股がって両手をあげる自分。…完全に痴女!!!


「…っーーー!!もうほんとごめん生きててごめん、生まれてきてすいませんんんんんん!!!」


バッと立ち上がって両手で顔を押さえた。何を考えてるんだ私は!!これじゃ完璧に赤司くんを襲ってるみたいじゃないか、バカか!バカだ!私は大バカ者だあああ!!


「都遥」


私を呼んでゆっくり近づいて肩に手を置いて更に近づいた。


「あ…赤司くん、近」
「水滴だ」
「はい?」
「天井のエアコンの隙間から落ちてるだろう、あれが肩に当たったんだ」


…確かに。私は水滴一つで赤司くんに抱きつき押し倒し股がったのか…水滴め…!私はお前のせいで泣きそうだよ!赤司くんはクスクスと静かに微笑んで、腕を差し出した。


「さすがに毎回押し倒されるのは困るからな、腕、掴んでていいよ」
「…お、お言葉に甘えさせていただきます」
「どうぞ」


初めはふわっと手を回しただけだったのに20分程進んで、気づけば体の中心で握りつぶすくらいの力で握っていた。


「お゛ぁあ゛ぉぅああ゛ぁ」
「いやあああああああああ!!」


ブチブチッ…

横から急に飛び出したおばけに我ながら大げさに赤司くんの方に飛び上がって、何かを掴んで引っ張ったら…赤司くんのシャツのボタンだった。私はそのまま第2ボタンまでを引きちぎって床に投げてしまった。


「…」
「…都遥」
「やってしまったあああ!ど、どうしよ、どうしよ…!ごめん!探すから!」


しゃがもうとしたら腕を掴まれてそのまま引っ張られた。


「いい。それより、早く出よう」
「う、うん…」


早歩きでどんどん進んでサッと出口を出てしまった。


「都遥っちー!叫び声聞こえてたッスよ…って赤司っちなんでそんなにシャツ開けてるんスか?」
「あ…の…」
「都遥に押し倒されて、股がれて、抱きつかれて、ボタンを引きちぎられた」
「「はぁ!?」」
「赤司くん!!」
「何か間違ってるか?」
「確かに…やりました」
「「ヤったぁぁぁ!?」」
「絶対違う事想像してるでしょ!」


帰り道、大輝と涼太に散々お化け屋敷内で起こったことを説明させられた。貴重なオフなのに…なんだこれ。確か合宿の時もこんな…私はオフの日より普通に部活や学校の日の方が疲れずに住むのかもしれません。


「赤司くん、この間はほんっとごめん!同じの探したんだけどなかなかなくて…似た雰囲気のやつ見つけたから買ってみたんだ。気にいらなかったからまた買いに行くから遠慮なく言って」


半ば強引に赤司くんに紙袋を押し付けた。


「わざわざ探しに行ったのか。気にしなくてよかったんだが…でも、せっかくだからありがたくもらっておこう。今度都遥と出掛ける時に着るよ」
「出掛ける時って…なんか約束したっけ?」
「次は期末試験の後だな」
「またやるの!?って言うか赤司くんいつも1位なんだからあの条件はダメなんじゃ…」
「試験の結果が楽しみだね」
「…」


今度からなんでもポンポン口に出すのはやめよう、またきっと自分で自分の首を絞めることになる。そう固く誓った。



→あとがき


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