「中津さんって春休みからバスケ部の練習に行ってたって聞いたけどマネージャーなの?」
「ううん、違うよ」
「そうなんだ」
「見学させてもらってるんだ。けど、私はマネージャーではありません。秀徳LOVEシュートクラブの会長です。以後、お見知りおきを」
「は?」










業務










「シュウトクラ…何?」
「“秀徳LOVEシュートクラブ”私が発足した秀徳高校男子バスケ部を愛でる会」
「ど、どんなことしてるの?」
「主な活動は観察かな、あとは写真撮影。もちろん練習中は邪魔にならないようにフラッシュをたくのは厳禁。目立つ場所にいるのも集中の妨げになるから極力体育館の四隅のどこかにひっついておくことも重要だよ。あ、もしかして入会希望?大歓迎だよ!簡単なテストを受けるだけで入れ…」
「あ、私用事思い出した〜ごめんね中津さんまた明日!」
「あぁっ!」


入学二日目。(周りからしたら)衝撃の自己紹介(だったらしい)翌の日、私は学校中で噂され、声をかけられる人気者になっていた。だが未だに入会テストを受けてくれる人はいない。それにしても、昨日は190越えのインテリメガネがいるとざわついていたのに、どういう風の吹き回しだ。


「どうやら“巨人緑間って信者を集めて占いの舘やってるらしいぞ”ってのが広まってるみたいだな」
「なにその嘘しかない情報は」
「巨人緑間は当たってるだろ」
「いいえ和成くんや、去年帝光には紫原くんという方がおりましてな…上には上が、あ!緑間くんおはよう!今日の占いは2位だったね、でも最近の傾向からして12位の後って下位になりやすいのに2位なんて…これはデータとり直さないと。とりあえずラッキーアイテムのバッキンガム宮殿バッジ持ってきたよ!市販のものとオークションで手に入れた非売品、あと…わ、私の手作りも…あ、あるんだけど…」
「そうか…」
「よう緑間」
「あぁ、高尾か」
「なぁお前って占いの舘やんの?」
「何の話だ」
「やっぱ原因は美和か…」


前日にラッキーアイテムを教えてくれるおは朝のおかげで、私はなんとか緑間くんのラッキーアイテムを徹夜で作り上げることが出来た。と言っても市販の無印バッジにバッキンガム宮殿の絵を書いた紙を貼り付けただけの簡単なものだけど。思いの外バッキンガム宮殿を描くのに時間がかかって結局徹夜になってしまった。


「では、せっかくだから手作りをもらっておくのだよ」
「は、は、は、はがっ…」


み、緑間くんが私の手作りを受け取った…。緑間くんが。私の。手作りを…!緑間くんが…!


「デレた…うっ!」
「美和!?おい美和大丈夫か?どうしたんだよ急にうずくまって…どっか痛いのか」
「胸が…痛い…!この緑間くんに撃ち抜かれた胸が…!!」
「………」


和成、その蔑んだ目を向けるのはやめて。さっきまであんなに優しかったのに、あの和成はどこに消えてしまったのですか。


「緑間も大変だな、こんなのに付きまとわれて」
「いや、ラッキーアイテムを用意してくれて助かっているが」
「そういやどっちも変人だったな」


ああ神様。今日は最高の気分です。毎日緑間くんの顔が見れてお話が出来て私はなんて幸せ者なのでしょう。これから三年も続くだなんて、私の心臓は持ちこたえる事が出来るのでしょうか…。

20121202
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