「はじめまして、中津美和です。緑間くんを追いかけてこの学校に来ました。私は今ここに、三年間秀徳バスケ部及び緑間くんに対し全身全霊をかけて愛し尽くすことを誓います。以上」
「はぁ…」
「だから緑間くん、よろしくね!」
「断る」
「えぇっそんな殺生な!」










入学










「いっや〜朝一から笑わせてもらったわ!相変わらずの緑間好きだな美和は」
「それにしても和成笑いすぎでしょ。皆ドン引きだったよ」
「皆がドン引きしたのはオレじゃなくてお前にだっつの」


桜舞う4月。真新しい制服に身を包み、慣れない校舎を進む。隣にいる高尾和成とは中学からの仲で、何の因果か高校生活まで共にすることになった。それを知ったのは、春休みの間の練習に参加した和成からの報告。


「なんか、緑間、いたんだけど…緑間がいるってことは…」


言わずもがな。緑間くんがいるなら私もいる。

和成と緑間くんは所謂“因縁のライバル”というやつで、中学時代、緑間くんが通ってた帝光中とウチの中学が練習試合をした際こってんぱんに叩きのめされたのだ。私はそれをバスケ部のマネージャーとして見ていたから、よく覚えている。よく覚えているも何も、私はこの一件で緑間くんという人物に虜にされてしまったのだから、忘れるわけがない。
少し話が反れたが、要するに和成はこの完全敗北で緑間くんに対し驚異的な闘争心を燃やし、高校で絶対ぶっ倒してやる!と日夜練習に励んでいた。そして高校の練習に参加したら倒すと誓った相手が目の前にいた。そりゃ驚いただろうし、並々ならぬ思いを抱えていた事を知ってるだけに、なんとも残酷な運命を呪うしかなかったと思う。


「練習見に来んの?」
「あったりまえでしょ。しっかり一眼携えてますよ」
「だよな。じゃあ今日も頑張りますかー」
「ばっちりフィルムに収めるからね!」
「おー、頼んだ」


そんな和成も、今では闘争心の方向を転換、緑間に自分を認めさせてやる!と自ら厳しい目標を掲げ夜遅くまで汗を流している。ポジティブでひたむきでしたたかで、和成のこういう所は本当に尊敬する。

私はカメラバッグを開いて、昨日買いに走ったフィルムの束を見せつける。最早引くことすらなくなった和成に順応力の高さを感じながら一眼カメラを首からぶら下げようと、紐に頭を通した。


「あ、宮地先輩だ!」
「おー中津、お前今日も来んのか」
「宮地さんオレと同じ質問してますよ」
「まぁこのカメラ見りゃ聞かなくても分かるけどな」
「さっすが宮地先輩、分かってますね。今日もよろしくお願いします!」


早速シャッターを切る。画面を確認すると宮地先輩の横顔をバッチリ捉えていて、自然にニンマリ怪しげな笑顔を浮かべてしまった。こうして、今日も私のフィルムは着々と秀徳バスケ部で埋まり、アルバムは分厚く膨らんでいくのだ。

20121202
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