to be in agony! [ 2/4 ]


押し倒した私に跨り、いつになく真剣な表情で私を見下ろす宮地くん。頭を挟むように左右に突き立てられた両手は私を逃がすまいと力が入っている。
宮地くんの言う通り、もし天変地異か何かが起きてこんな状況になったら、私は逃げ出せないだろう。


「ごめんなさい…」
「…お、急に素直になったな」
「なんにも考えて無さすぎだったなと思って反省しました」
「てことは今からは考えたうえで行動するわけだよな?」
「?う、うん…?」
「ふうん、じゃ勉強再開すっか」


ふっと視界が開け、宮地くんが元の位置に戻る。最後の会話に疑問を感じつつ私も起き上がってペンを持つ。宮地くんは何事もなかったかのようにスラスラと問題集を解いていた。


「宮地くん」
「なんだ」
「心配してくれてありがと。私、迷惑かけてばっかだし馬鹿だから一緒にいるのしんどいと思う。本当に嫌だったら無理しなくていいから…勉強も一人で頑張るし、もし同じ学校に行けたら、すれ違った時に声かけるくらいはしてもいい?」
「…バッカじゃねぇの」
「え!?そ、それすらダメですか…」


私ってそこまで嫌われてたんだ…。宮地くんはそんな人を家にあげて(ほぼ強制)勉強教えて(ほぼ強制)たのか。なんて心が広いんだ!その宮地くんにつけ込んで私は…!
自己嫌悪に陥る私に宮地くんはまたため息をついた。


「言っとくけど、俺は名が思ってるような聖人じゃねぇから」
「え、なぜ私の心が!?」
「お前の考えてる事なんか公式解くよりラクだわ」
「す、すごいね!」
「…なんでもいいけど。俺は嫌いな奴に構ってやるほどお人好しじゃない。嫌ならはっきり断る。どういうことか分かるか?」
「つまり?私は声をかけてもいいと?」
「抱きついてきてもいいぜ」
「あははは何それ付き合ってもないのにそんな恥ずかしいことできないよ〜」
「俺は名と付き合いたいと思ってるけどな」
「ははは…えええええ!?」
「今回は反応早かったな」
「さすがの私も今のは分かったよ…」


宮地くんは楽しそうに笑った。つられて私も笑いかけて、ん?と思う。今、告白されたんだよね。なにこの、のほほんとした感じ。え、なんで宮地くんは勉強再開してんの。
とりあえず、どうすべきなのか分からないまま私も勉強を再開する。

そのままいつも通り、勉強会は進みお開きとなった。家まで送ってくれた宮地くんが立ち去ろうとするのを呼び止める。


「今日はありがとう!なんかいつもより精神的に疲れた気がしたけど」
「おー、俺もだわ」
「私、宮地くんのこと好きだから」
「…は?」
「だから同じ大学行って声かけまくるから!」


宮地くんは大きく目を見開いてフリーズした後、パチパチと何度か瞬きをしてニヤリとほくそ笑んだ。


「ほう、じゃあもう我慢しなくていいんだな?」
「え?何か我慢させてた?」
「あぁ、ずっとしてた」


何を?と聞く暇もなく、宮地くんの手に顎をすくわれて、キスをされた。一瞬の流れるような動作に目も閉じられず、意識が戻ってきたのは宮地くんの唇がリップ音を残して離れた後だった。


「こういうことしたくなったら、我慢しなくていいんだろ?」


お前が鈍いせいでこっちは散々苦労させられたんだ。これから利子つけて返してやるからそのつもりで。
ビシッと私に人差し指を突きつけそう言うと、満足したのか、宮地さんはニヒルな笑みを浮かべたままくるりと背を向け、来た道を戻り始める。唖然とした表情でその背中を見つめる私は、しばらくその場に立ち尽くしていた。

これから何を返されるのか、不安で仕方がない。










to be in agony!


(あ、宮地くーん!)
(おう、……ん!)
(何?その広げられた両手は)
(抱きついてこいよ)
(無理です!!)


→あとがき


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