1/3 “モエルモエルモエナイモエル”と繰り返す紫原からのあだ名ちんが一通り片付けてふぅ、と額の汗を拭った。
「どうしてこんな散らかるまで放置するの?越してきた当初は一応ゴミは出してたのに」
ゴミ出し行く度に紫原からのあだ名ちんが分別がどうこうギャーギャーうるさいからだよ。
「私だってちゃんと分別方法とゴミの日覚えてくれれば文句言わないわよ!」
なんて返ってくるのは分かってるから口には出さないけど。久しぶりにキレイになったばかりの部屋に食べ終わったまいう棒の袋をぽいっと投げ捨てた。
「あ、バカ!」
慌てて袋を拾った紫原からのあだ名ちんは絨毯を見てがっくりとうなだれた。
「た、食べカスが…」 「いいよ別にーここからじゃ見えないし」 「朝起きて絨毯が真っ黒になるくらいアリがたかってたらどうすんの?」 「…うぇ」 「ったく…」
立ち上がった紫原からのあだ名ちんが物置から掃除機を持ってきてオレに何か投げた。反射でぱしっと掴んだそれは髪ゴム。
「なに?」 「大掃除、するよ」 「はぁ〜?やだよ」 「問答無用!」 「ええぇ…」
髪ゴムの次に投げられたのはぞうきん。しぶしぶ適当に髪を結んで紫原からのあだ名ちんを見たら三角巾にマスク、手袋と完全装備で、これは一日作業になるな、とオレは長いため息をついた。
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