そしてその夜、すでに林の前には紫苑と辰馬と桂と高杉の姿があった。


「ん?銀時はまだ来ておらんのか」

「え、銀ちゃん来るの?!」

「あぁ。昼間は確かに来ると言っておったのだが…」

「どーせ怖くなって来れねェんだろ」

「アッハッハ!銀時はまっこと怖が「誰が怖がりだコノヤロー」おろ?」

「銀ちゃん!」

「わりィ、昼寝してたら寝過ごした」

「いや、それ寝過ごしすぎでしょ…。って、そんなことより平気なの?」

「あ?こんなん余裕だよ余裕。第一おれぁ幽霊なんてもん怖くねぇしい〜?」

「おろ?あんな所に人影が……」


びくり


瞬間、紫苑と銀時の肩が大きく跳ねる。それを見た辰馬が思わず吹き出した。


「ぷっ、くっくっ…すまんすまん、見間違いだったみたいぜお!」


それを聞いてぶるぶる肩をふるわせて怒鳴る銀時とほっと息をつく紫苑。


「たーつーまァァァ!!」

「びっくりさせないでよー!」

「いやーまっことおまんらはからかいがいがありすぎて困るのう!」


するとその様子を静かに見ていた高杉はあからさまに不機嫌な顔をして言った。


「……おい、やるなら早く始めんぞ」

「おお!高杉がやる気まんまんぜお!」

「ちげえよ毛玉!俺ァ早く帰りてぇだけだっつうの」

「アッハッハ!泣いていい?」


そう言いながら辰馬が銀時たちの目の前にさしだしたのは5本の割りばし。


「まあとにかく、これで二人一組のチームを決めるぜお!」

「ふむ、なるほどな。しかし坂本、それでは一人あまるぞ。どうするのだ?」

「あまったもんは一人で行くしかないのう!アハハハ!」

「ちょっと待て!!この気味悪い林ん中に一人で入るっつーことか?!」

「そーゆうことじゃ!」

「「ぜったい無理!!」」

「おろ?紫苑もか?」

「あ た り 前 で し ょ !」

「しかしそのはずれくじを引かねばいいだけの話だから大丈夫だろう」

「うぅ〜…、ぜったいにはずれだけは引きたくないぃぃぃ……」

「じゃ、せーので引くぜお。せーのっ」


辰馬のかけ声と共に、銀時と紫苑は少し怯えながら、高杉は面倒くさそうに、桂は楽しそうにくじを引いた。

紫苑が恐る恐る自分の手に握られている割り箸を見ると、大きく"2"と書かれているのが目に留まる。


「2、だ」

「俺も2だな」

「やったあ!じゃあ私晋助と一緒だ!」


紫苑の声に続いて自分の数字を言ったのは高杉。つまり紫苑が一人で行くのは免れたということ。


「わしゃあ1ぜお」

「む、俺もだ」

「え…………じゃあ…」


一斉に四人が見たのは、くじを引いてからまだ一言も喋っていない人物。


「………オイ、辰馬。
俺の割り箸(笑)って書いてるんだけど。
なにコレ?いじめ?いじめなのか?
てか(笑)ってナメてんのかァァア!」

「クク、ざまーみろ銀時ぃ。
おめェなんか1人で林歩いてせいぜい途中で変なもんにでも取り憑かれちまえ」

「おいコラ高杉ぃぃい!!今それ聞いても全く冗談に聞こえません!」

「冗談じゃねぇ本気だ」

「よし殺す!!!」


気分良さそうに鼻で笑う高杉と、高杉への怒りとこれから先の恐怖心で妙なテンションになっている銀時に背を向けて話す3人はそろそろ行こうかと話を進める。


「よし、では俺たちは先に行くぞ」

「林を抜けたら小さい寺があるき、そこがゴールぜお!じゃあまたあとでの〜」


そう言って桂と坂本はさっさと林の中へと入っていった。

そして坂本の笑い声が聞こえなくなった頃、突然銀時が林へと駆け出した。


「ちょ、銀ちゃん?!」

「一人で一番後ろ歩くなんざ何がなんでも嫌だ!せめて真ん中がいい!っつーことで先行くからなっ」


走りながら覚えとけ辰馬ぁぁあ!!と叫ぶ銀時の姿も林へと消える。

あっとゆうまの出来事に唖然としていると後ろに立っていた高杉に肩を押される感覚。


「おい、俺らも行くぞ。こんなもん早く終わらせて帰ろーぜ」


そうだ。晋助の言うとおり、早く終わらせて帰ろう。そして暖かい布団で思いっきり寝よう……!

そう決意した紫苑は、ぐっと表情を引き締めて両手を上げて吠える。


「よっしゃああ!行くぞ晋助ェェ!」

「クク、うるせー奴…」


こうして残る二人も薄暗い林の奥へと消えていった。


きもだめしの


「なーむー」

「何唱えてんだァ?」

「いや、銀ちゃんご愁傷様的な意味でお経を………」

「クク、」





 
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