ああ、またこの夢か。それが俺が持った一番の感想だった。目の前には見慣れた光景が広がっている。少し視線を下にやれば仲間や天人が地に伏しているのが見えて、どうやら立っているのは自分一人だけらしい。視線を上にやればどこまでも続く曇天から、ちらほらと雪が降っているのが分かる。夢だからか、寒さも何も感じない俺はただただ立ち尽くしてその光景を目に写していた。降り続ける雪が、地に伏す者たち全てに雪化粧を施してゆく様はそれはそれは美しく、ひそかに憧れの情を込めてそれらに視線を向けている自分に気がついた。このままずっとこうしていれば、いつか俺だってあんなふうに、この真っ赤に染まった両手を白で隠してくれるのだろうか。

ああ、でもこれは夢だった。

「夢でもいい、…ありがとう」

真っ赤に染まった両手で目をふさいだ俺は誰に礼を述べたのだろうと、言いながらにそんなことを頭の隅で考えた。



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