嗚呼、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
ついさっきまで美しい緑で彩られていた丘は真っ赤に染め上げられてしまっている。
意志とは関係なしにがくがくと震える私の両足は立っているだけでもやっとだということを否が応でも表していた。
私の目の前には最後の天人の首を弾いた銀時さんの姿。
真っ赤に、染まって。
「はあ、は…っ、大丈夫か?」
「……っ、あ」
「どこか、怪我とか…」
「い、いやっ」
はっと気づいた時にはもう遅かった。私を心配して手をのばしてくれた銀時さんの手を私は拒絶してしまったのだ。
「う、あ…!ご、ごめんなさ」
「…いや、おめえが謝ることじゃねえよ」
「え…」
「………薄汚えのは俺だよな」
その時の彼の表情と声色を、私はきっともう忘れることなんてできないだろう。
銀時さんの言葉を聞いた直後、私に襲いかかってきたのは酷い後悔と目頭の熱だった。
(わたし、なんてことを)
貴方は汚くなんかないです。
ましてや鬼などではない、ただのお優しい人間です。
あの瞬間それが言えていたなら、ほんの少しだけでも彼の魂は救われていたのだろうか。
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