ふわふわと、漂う紫煙のあとを辿れば、必ず見つけることができるあなたの背中。
「晋助みっけ!」
「あァ?…またお前かよ、…つうか見つけたも何も俺ァ隠れてなんざねぇし、」
「またこんな所に一人で来たの?みんなあっちに居るよ」
「……いいんだよ、俺は」
「ふうん?それじゃあ私もここがいいな」
「は?」
屈託のない笑みを高杉に見せた刹那は、これまた何の躊躇もなく彼の隣に腰をおろした。
一方、高杉はそんな彼女に向けて大きなため息を吐く。
「ったく、お前は一人になりてェとか考えたことねーのか?」
「私は一人が嫌いだから!」
「……そうか、」
それはいつでもまわりの人間に笑顔を与え、そして自らも常にその笑顔に包まれている、そんな彼女の彼女らしい答えだと、そう思っても決して口にしないのは彼の常である。
刹那の人間性は自分のそれとはまるで真逆の位置に存在しているように感じるということも、もちろん胸の中でだけで呟く。
「お前よォ…俺と一緒に居てもなんも楽しくねェだろうが、無理してここに居るこたァねえんだぜ」
紫煙をふかす己の隣で何をするでもなくただ膝を抱えて座っているだけの刹那に高杉は眉を寄せてそう言うが、しかし顔を上げた彼女の表情に驚いたのは高杉の方だった。
「無理なんかしてないよ、私は晋助とこーしていっしょに居るだけで楽しいから」
にこにこと笑う彼女は戦場とはまるでかけ離れたところで生きている人間なのではないかと思った。
銀時たちが日だまりを思い出すと言うその笑顔は、なるほどどこかあの人に似ている。
高杉が一人静かにそんなことを思い巡らせていると、彼女の口から唐突に疑問が零れた。
「晋助は一人が好きなの?」
「…嫌いじゃねぇよ」
「人がいっぱいなのは嫌い?」
「…嫌い、じゃ、ねェよ」
「じゃあ私は晋助のそばに居てもいいの?」
「…………好きにしろ」
とたんに、今度はやわらかな微笑みを返された高杉は思わず目を見開いた。
その笑顔はあまりにも、遠い記憶にあるあの人のそれと酷似していたからだ。
「晋助はやさしいね」
そしてまた彼と同じようなことを言うものだから、尚更だ。
この優しすぎる時間をどう過ごせばいいのか分からないままなのはなんとなく、とても勿体無いような気がしたから、とりあえず彼は目の前の少女を抱きしめてみた。
そんなある日の昼下がり。
それは日溜まりに似て
するとすぐさま何処からともなく駆けてきたみっつの足音に、二人は揃って顔を向けた。
「高杉ィイ!俺たちの刹那になにしてやがんだコラ!」
「アッハッハッハ!晋助、独り占めはいかんきー」
「まったくもって坂本の言う通りだ。いますぐ早く離れろ」
「…ったく、うるっせェなあ。
てめェらは刹那の母ちゃんか」
「それは違うよ晋助!銀ちゃんたちは男の子だからどっちかってゆうとお父さんだよ!」
「…いや、それも違うと思う」
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