00.進軍開始!


 私たちの大好きな町を覆っていた、見えない殺人鬼の恐怖を拭い去ってから数ヶ月。あの頃に知り合った彼らとの縁は、ありがたい事に今でも途切れる事は無くて。あの事件の真相を共有する仲間として、とても強い友情が生まれたと思っている。
 そうして今も、彼らと集まってお弁当をつつく穏やかな昼休みを過ごしていたのだけれど。

「あ、そうだ。すっげぇニュースがあるんスけど〜」

 ジュースのパックをズルズル啜ってた仗助が、急にニヤニヤして私たちの顔を見回した。

「仗助、お前ぇよぉ〜、もったいぶるなよなぁ〜」
「ニュースって?」

 億泰と一緒に身を乗り出すと、さも楽しそうに仗助も顔を寄せてくる。ついでに隣の康一君の肩に腕を回して強制的に寄せてきた。

「わっ! 仗助くん、急になんだよぉ」
「ちょっと仗助! 康一くんになにをするのよっ!」
「まぁまぁ、良いから聞けって」

 よっぽどそのニュースが得意なのか、今の仗助は由花子の睨みも恐ろしくないらしい。私たちの顔をひとつずつ確認すると、その男の癖にぽってりとした唇をひん曲げて笑う。

「今月末に、承太郎さんたちが来るんっスよ」

 一瞬、私たちは静かになる。そして一呼吸置いて、爆ぜた。

「うっそー!? マジで?!」
「わぁぁ! すごいニュースじゃないかぁ!」
「オイオイ! 嘘じゃねぇだろうな?!」

 嬉しそうな私たちに、仗助もその顔を嬉しそうにくしゃくしゃにする。
 私たちは、仗助の甥になる承太郎さんが大好きなのだ。仗助の甥といっても、承太郎さんはもう28歳になる立派な男性だ。昔はヤンチャだったとか、不良のレッテルを云々と聞いているが、今では立派な海洋学者として大学の教壇に、現地調査や研究にと忙しい。しかも、彼の精神力である「スタンド」は正しく最強。速さ、精密性はどのスタンドも敵わない。時間すら止める「スタープラチナ」の凄さは、同じくスタンド使いでもある私たちも良く知っている。とにかく彼は、メチャクチャ格好良い男なのだ。

「久しぶりだよなぁ! 今度こそよぉ、昔の話しとか、もっと聞きてぇなぁ!」
「おれも色々聞きてぇんスよねぇ〜。ほら、おれらくらいの武勇伝とかよぉ」
「ぼくも、今の進路に進んだ話しとか、相談してみたいし……」
「流石康一くん! 馬鹿共と違って、将来の事を考えてるのね」
「康一くんは真面目だなぁ〜」

 やいのやいの好き勝手、脳味噌で通さない反射で喋るこの感じに、すっごい幸せを感じていた。
 そんな事を考えながら、秋空を見上げていて私も一つ、思いついた。

「ねね、仗助! 来るのって今月末でしょ?」
「おう、そうだぜぇ」
「今月って、10月じゃない?」
「ん? それがどうかしたのかぁ?」

 仗助も、他の皆も不思議そうな顔しているのを、今度は私が見まわしてにんまり笑う。

「ハロウィンじゃん!」

 一丁、子供の特権振りかざしちゃおうじゃない!


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