02


拾ったトウモロコシはかなり重い。これが実際に本当にトウモロコシだったら一生食べれるけど、そんなトウモロコシ漬けの生活なんか嫌だなぁ、なんて思いながら、トウモロコシを引っ張って家に着いた。家に着いた途端トウモロコシくんは“ほー…綺麗にしてるんだな”ってスタスタ歩き出す。コノヤロー歩けるなら最初から歩けよ。あたしだったから良いもの…なんて思って溜め息を着いた後、トウモロコシくんを見れば、くるりとこちらを向いて近づいてくる


「お前、親は?」

「1人暮らし」

「そうか」


“不用心だな”と壁に追いやられて再びトウモロコシで影ができる。ニヤリと笑った目の前のトウモロコシくんからは八重歯が見えた。が、なんか鋭すぎないか?なんて思っていれば首に埋もれた。くすぐったいなぁ、なんて思った瞬間、ピンポーンなんてインターホンが鳴った


「ちょ、ちょっとごめん。お客さん来た」

「うるせぇ、後にしろ」

「ダメダメ。鳴ってるから、どいて」


ぐいっと引き離そうとしてもすごい力であたしの肩を掴んでくる。困ったなぁ、そんなにあたしとセックスしたいのかなぁ、なんて思っていれば、見知った顔が目に映る


「やっほ!木浦ちゃん。遊びに来た、ぜ…え?」

「あ、桑田怜恩くん」


やってきたのは幼なじみの桑田怜恩くん。あたしとトウモロコシの攻防に唖然としながら“じゃ、邪魔したかなー…”なんて言ってくる。邪魔じゃないよ。むしろグッドタイミング。だって見ず知らずのしかもトウモロコシに初めてをあげるつもりは毛頭にもないもの


「桑田怜恩くんいいタイミングできたね。このトウモロコシ引き剥がすの手伝ってよ」

「オメー誰がトウモロコシだよ!ふざけてんのか!」

「ふざけてない。だって名前知らないし」

「あ、よく見たら大和田じゃん」

「あぁ!?」


桑田怜恩くんに大和田と呼ばれたトウモロコシくんは桑田怜恩くんをまじまじと見た後、“オメー桑田じゃねぇか”と呟いた。お2人は知り合いですか。そうですか。てかさっきからあたしが“桑田怜恩くん”と何度もフルネームで呼んでるのに今気づくとかアホですか。そうですか


「桑田はともかく俺がアホなわけねぇだろ」

「あれ?聞こえてた」

「思いっきり口に出てるけどな!ケンカ売ってんのかオメーはよぅ!さっきから!」

「桑田怜恩くんじゃないんだから、あたしはアホみたいにケンカ売らないよ」

「つかなんで俺、さり気なく貶されてんの!?」

「「ん?」」

「こんな時ばっかり息合ってんじゃねー!アホォ!」


桑田怜恩くんの絶叫が部屋中に響きました。とりあえず近所迷惑です




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