01


“木浦さんってさー普通じゃないよねー”

日常的に聞こえる会話の中で囁かれる言葉、どうやらあたしは普通ではないらしい。でも普通って何でしょうかね?なんて思いながら読んでる本を閉じた。ありきたりなファンタジーで面白みにかける本を手に、席を立てば、さっき話をしていた子達がびくりと跳ね上がって、あたしを見た。そんなにあたしが怖いんかいな、なんて思いながら脇を通って教室を出れば再び始まる話し声。ああ、うるさいうるさい。毎日毎日あきないな

((刺激的な日常的が来い))

そう思ってサボった授業。まだ日が昇っている。あっついなぁ、暦は秋ぞよ、なんて思っていれば倒れているトウモロコシ、基人。近づけば呻き声が聞こえた


「あのー…」

「あぢー…死ぬ」

「…ひなたぼっこ?」

「オメーこれがひなたぼっこに見えんのかよ」


楽しそうだから放って置こうと脇を歩けば“上等だ、こら!”なんて言って手を掴まれた。びっくり、冷たかったんだもん


「え?冷え症?」

「女じゃあるめぇしなるか!」

「はぁ、そう。で、何ですか?」


聞くと同時に壁に追いやられて、頭のトウモロコシ、いやいや、リーゼントが壁に当たって影が出来た


「オメー、いいもん持ってんな」

「ん?カントリーマームならあげないよ?」

「いらねぇ!」

「じゃあ何」

「うまそうだ」


そう言って徐々に近づく首元、くすぐったくて声が出そうだなぁって思っていれば、鼻付近を虫が通った。やばい、くしゃみで…


「っくしょん」

「おわっ!?」


くしゃみした勢いで頭突きを食らわせてしまった。あたし石頭だからなー大丈夫かなーと思えば、射抜くような眼光の後、“テメェ…良い度胸だ”なんて声がする


「あわーごめんなさーい」

「オメー謝る気ねぇだろ!」

「だっていきなりいかがわしいことするのもどうかと思いますけど?」

「そ、そうか。悪かったな。じゃあいただきます」


ぱん、と手を合わせて合掌するトウモロコシさんに“やだ、いやらしいっ”何つって冗談で突き飛ばしたら意外とふらついて車に跳ねられた


「あ」


否、車が凹んだ


「だ、大丈夫っすか?」

「んなわけねぇだろ!」


“罰としてオメーの家連れてけ”なんて言われて、正直めんどくさい以外の何物でもなかったけど、ギャラリーの視線があったし、渋々トウモロコシを引っ張っていくことにした


「…オメー力あるな」

「うん。有り余ってる」


トウモロコシを拾った










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