“木浦さんってさー普通じゃないよねー”
日常的に聞こえる会話の中で囁かれる言葉、どうやらあたしは普通ではないらしい。でも普通って何でしょうかね?なんて思いながら読んでる本を閉じた。ありきたりなファンタジーで面白みにかける本を手に、席を立てば、さっき話をしていた子達がびくりと跳ね上がって、あたしを見た。そんなにあたしが怖いんかいな、なんて思いながら脇を通って教室を出れば再び始まる話し声。ああ、うるさいうるさい。毎日毎日あきないな
((刺激的な日常的が来い))
そう思ってサボった授業。まだ日が昇っている。あっついなぁ、暦は秋ぞよ、なんて思っていれば倒れているトウモロコシ、基人。近づけば呻き声が聞こえた
「あのー…」
「あぢー…死ぬ」
「…ひなたぼっこ?」
「オメーこれがひなたぼっこに見えんのかよ」
楽しそうだから放って置こうと脇を歩けば“上等だ、こら!”なんて言って手を掴まれた。びっくり、冷たかったんだもん
「え?冷え症?」
「女じゃあるめぇしなるか!」
「はぁ、そう。で、何ですか?」
聞くと同時に壁に追いやられて、頭のトウモロコシ、いやいや、リーゼントが壁に当たって影が出来た
「オメー、いいもん持ってんな」
「ん?カントリーマームならあげないよ?」
「いらねぇ!」
「じゃあ何」
「うまそうだ」
そう言って徐々に近づく首元、くすぐったくて声が出そうだなぁって思っていれば、鼻付近を虫が通った。やばい、くしゃみで…
「っくしょん」
「おわっ!?」
くしゃみした勢いで頭突きを食らわせてしまった。あたし石頭だからなー大丈夫かなーと思えば、射抜くような眼光の後、“テメェ…良い度胸だ”なんて声がする
「あわーごめんなさーい」
「オメー謝る気ねぇだろ!」
「だっていきなりいかがわしいことするのもどうかと思いますけど?」
「そ、そうか。悪かったな。じゃあいただきます」
ぱん、と手を合わせて合掌するトウモロコシさんに“やだ、いやらしいっ”何つって冗談で突き飛ばしたら意外とふらついて車に跳ねられた
「あ」
否、車が凹んだ
「だ、大丈夫っすか?」
「んなわけねぇだろ!」
“罰としてオメーの家連れてけ”なんて言われて、正直めんどくさい以外の何物でもなかったけど、ギャラリーの視線があったし、渋々トウモロコシを引っ張っていくことにした
「…オメー力あるな」
「うん。有り余ってる」
トウモロコシを拾った
.
prev next