背中越しの体温



部活中、今日は小雪が来てないことに気がついた。赤司に聞けば今日は委員会があって来れないらしいと言うことだ

((なんだ、つまんねーの))

そう思いながら練習をこなして放課後。小雪は最後まで現れなかった。自主練も終わり、さつきはテツと帰りたいとか言うから丁度いいと思って、もう少し練習しながら小雪を待つことにした。しばらくして練習を切り上げて玄関で待っていると小柄な体を見つけた。声をかける


「おい」

「あ、青峰くん!?」


びっくりしたような様子の小雪は一瞬動きを止めたが、すぐに嬉しそうな顔で駆け寄ってきた。くそ、なんて顔しやがる…


「ずいぶん遅かったな」

「委員会で…青峰くんはなんで、桃井さんと帰らないの?」

「さつきはテツと帰るんだと」

「てか、待っててくれ、た…の?」

「…自主練してて遅くなっただけだ」


いくぞ、と言って自転車を押してごまかした。本当は少しだけ待った。もう帰っちまったんじゃないか、練習しすぎたかななんて思いながらお前のこと待ってたんだよ。いえねーけど


「ほら、乗れよ」


校門を出て、自転車の後ろに乗るように催促すると小雪はきょとんとして“青峰くん、家反対側だよね”なんて言ってきた


「だからなんだっつーんだよ。乗れよ」

「う、うんっ」


お前と帰りたいんだよ!なんて言葉口が裂けてもいえないから、乱暴な言葉でごまかして小雪を自転車に乗せた。すると小雪は俺の腰を少し掴むだけでちゃんと抱きついてこない。危ないから腕を引っ張って抱きつかせると途端に熱くなる体と柔らかい感触があった

((これは…!))

そう思って1人慌てながら、悟られないように“いくぞ”って声を出して自転車が動き出した。密着する背中越しに感じる小雪の体温と柔らかさがなんか心地よくて、いい気分だ。近くにいるから小雪の甘い匂いが香ってきてますます体温が上がる

((やべえ…心臓うるせぇよ))

そう思っていると小雪に声をかけられてドキッとしながら返事をした


「ありがとう」

「…別に」


背中越しに聞こえる声。顔を見られたくなくて振り返らないで返事をした。そしたら小雪は俺の心情が分かったのか強く抱きついてきた

((この時間が永遠に続けばいい))

そう思ってる俺はなんとも情けないがいつか、いつか想いを伝えてやる。そう思って自転車を漕いだ






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