委員会ですっかり遅くなったある日、外は真っ暗でなんだか怖いなぁなんて思っていたら、聞き覚えのある声に呼び止められた
「おい」
「あ、青峰くん!?」
どうして?と聞く前に体が勝手に動いて、青峰くんの元に駆け寄った
「ずいぶん遅かったな」
「委員会で…青峰くんはなんで、桃井さんと帰らないの?」
「さつきはテツと帰るんだと」
「てか、待っててくれ、た…の?」
「…自主練してて遅くなっただけだ」
いくぞ、と言って自転車を押す青峰くんの耳がちょっと赤い。それを見てさっきのは図星なんだって思って嬉しくなった
「ほら、乗れよ」
「青峰くん、家反対側だよね」
「だからなんだっつーんだよ。乗れよ」
「う、うんっ」
自転車に乗って青峰くんの服を少し握れば、ちゃんと持てって言って手が伸びてきて、腕を前に回された。その反動で体がより青峰くんに密着する
((ドキドキしてるの聞こえちゃうっ!))
そう思って1人慌てていると、いくぞって声が聞こえて自転車が動き出した。密着する背中越しに感じる青峰くんの心音が聞こえる。心地よくて、とても幸せ。風が頬にあたり、青峰くんから汗の匂いと制汗スプレーの匂いがした
((疲れてるのにな…))
「青峰くん」
「あー?」
「ありがとう」
「…別に」
背中越しに聞こえる声。表情は分からないけど、また耳が赤くなってるのに気づいてあたしは強く抱きついた
((この時間が永遠に続けばいいのに…))
そう思って目を閉じた
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