お菓子の箱を握りしめ、とにかく走った。誰にも会いたくないその一心で
『これ見よがしだってゆってんの』
『わかんないの?邪魔なの』
さっき言われたことが反芻する。中学生になったのに泣いている。くやしくてくやしくて…
「そんなつもりじゃなかったのに…っ!」
ただみんなと仲良くなりたくて作ったクッキーは粉々にしてしまいたいくらい、今は腹立たしい
((こんなものっ!))
投げ捨てようとしたときに腕が止まった。振り向くとそこには青い髪の背の高い男の子がいた
「物に当たんなんてよくねーぞ」
「…ごめんなさい」
「お前、これクッキーじゃん!食っていい?」
「あ…」
あげられなかったぼろぼろのクッキーは次から次ぎえと無くなっていった。その光景に目が離せない。だってさっきの男の子がおいしそうに頬張るから涙も消えていた
「うまかった」
「お粗末様でした」
「お前さ、なんて名前?」
「え…白澤小雪です」
「そうか!俺青峰大輝」
にこっと笑った青峰くんがまぶしかった。その場を立ち去ろうとしたときに青峰は私の腕を引いて一言言った
「お前バスケは好きか?」
この出会いがあたしの人生を大きく変えることになるのを私はまだ知らない