放課後､何気なく立ち寄ったのは青峰くんと初めてであった廊下｡ここで青峰くんと出会ってからあたしの日常は見違えるくらい変わって､毎日が楽しくてしょうがなかった


｢あ…｣

｢お？｣


息を吐いて廊下を見回すとそこには青峰くんが立っていた｡あたしを見つけた青峰くんは“どうした小雪”と声をかけながら近づいてくる｡胸が高鳴った


｢まーた泣いてんのか？｣

｢違うよ｡思い出しただけ｡初めて青峰くんと会った日のことを｣

｢俺も懐かしくなって来たんだ｣

｢奇遇だね｣


なんて笑えば青峰くんは“そうだな”なんて困ったように笑った｡それからあたしの前に来て目を見つめる｡何か言いた気に手を動かしては落ち着きがない様子だったから“どうしたの？”と聞けば､目を大きく見開いた


｢小雪｣

｢うん？｣

｢あのよ､お前…｣

｢なあに？｣


あぁ､大好きな青峰くん｡想いを伝える勇気はあたしにはまだないけれど､こんなやり取りをしているだけであたしはとても満たされてる

((幸せだな))

そう思ったら途端に涙が溢れてきた｡嬉しいはずなのになんで泣くのあたし､どうしちゃったの？


｢小雪っ｣


青峰くんの声が響いたと思ったら次の瞬間､青峰くんの腕の中にあたしはいた｡力強く抱き締められて､息を吸うと肺の中が青峰くんの匂いでいっぱいになった


｢…泣くな｣

｢ごめ､ん…ね｣

｢泣くな､小雪｣


“好きだ”

青峰くんの声がまた響いた｡そして信じられない単語が耳に届く｡好き？青峰くんがあたしを好き？


｢う､そ…｣

｢嘘じゃねーよ｣

｢だってあたし何にもできないよ｡かわいくないよ｡ブスだよ｡なのになんで…｣

｢そうかもな…ブスだな｣

｢…っ！｣

｢泣き虫だし､よえーし…それでもお前が好きなんだよ｣


“黙って､はいって言えよ”

そう言って青峰くんは目元の涙を指で掬ってくれた｡だからあたしは青峰くんを見て“はい”って答えた｡青峰くんは嬉しそうな､照れたような顔をして頭をなでてくれた


｢好きだ､小雪｣

｢あたしも青峰くんが…｣

｢違うだろ｡大輝って呼べよ｣

｢…だいき､くん｣

｢おう｣

｢好きです｣


それからずっと２人で抱き合った｡この温もりが消えないように抱き合ったんだ

大輝くん大好き｡これからもそばにいて下さいね