君だけ見ている



合宿するぞ、と言う赤司くんの一言で今日からバスケ部の合宿が始まった。しばらくの合宿は大好きな青峰くんとずっと一緒に居られると思ったら全然苦じゃない。元々クラスでいるより部活に出ていた方が楽しいと思っていたから、1人うきうきしながら合宿に望んだ


「むーくん、いる?」


料理を作ってる間、今日のデザートについて聞くのを忘れていたから、体育館を訪れる。体育館では試合をしていて、青峰くんがたった今シュートを決めた


「かっこいい…」


思わず口に出てしまいはっとしていると肩をつんつんと叩かれた。振り向くと大きな体のむーくんが立っていた


「何がかっこいいのー?」

「えと、今青峰くんがシュート決めたから、かっこいいなぁって…」

「じゃあ俺もシュート決めたらかっこいいー?」

「うん!かっこいいよ!」


むーくんの大きな体を生かしたシュートはそれはそれでかっこいいし、緑間くんの3Pシュートもかっこいい。青峰くんに会うまではバスケのバの字も知らなかったくせにこんなに見せられている


「ところでむーくん、今日のデザート何だけど…」

「何やってんだ、小雪」


むーくんに今日のデザートについて話しかけようとした瞬間、後ろから汗だくになってやってきた青峰くん。その姿はなんだか色っぽい。どきっとした


「今、むーくんに今日のデザートどうしようか相談してたとこなの」

「はぁ、デザートなんか食ったら太るぞ」

「いやいや、むーくんだけ、特別なの」

「…そうかよ」


青峰くんはそっぽを向いて小さな声でそう言った。デザート食べたかったのかな?と思って“青峰くんのも作る?”って聞いたら“いらねぇ”って帰ってきた。すこし寂しかった


「んーデザート…白ちんが食べたい」

「「え?」」


思わず青峰くんと声が被った。次の瞬間ぎゅっとだし寄せられてむーくんの胸の中へ、そしてむーくんの顔が段々近づいてくる


「白ちんいつも甘い匂いしてて美味しそうー」

「あたし人間だからっ!?」

「ちゅーしていーい?」

「ええー!?」


抱きしめる力が強くて抜けることが出来ない。顔は近づいてくる、どうすればいいか分からずに固まっていると“やめろ!”と言う声が体育館中に響いて、ほかのみんなも動きを止めた


「離せよ紫原」

「えー」

「小雪を離せ」

「あ、青峰くんありが…」

「俺に話しかけんな」


むーくんと離してもらってお礼を言おうと声をかけたら、手は振り払われてしまい、青峰くんはそのままコートに戻った

((あたし、何かした?))

不安に押しつぶされそうになりながら過ぎ去る青峰くんの背中を見た






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