ベビー用品店を出て、次に向かう先は近くのスーパー。なんだか、スーパー行くとかマジで夫婦過ぎて逆に緊張するっつーか、いや、俺らは将来夫婦になる予定っつーかなるんだから、その予行練習になって良いよな。うん、そう思おう…なんて考えてる時に一華ちゃんがカゴを手にしたから俺も掴むと、きょとんとした
「俺、持つよ」
「でも怜恩くん、やすくん抱っこしてるし…」
「いーって大丈夫だって、な?」
「だべ!」
「うん…」
そう言って一華ちゃんからカゴを預かってスーパーに入る。つか、今日の飯、何にするんだろとか思ってたら一華ちゃんが“何食べる、怜恩くん?”なんて聞いてきた。食べたい物なんか何でもいーけど今のやり取りがマジ夫婦過ぎて頭沸く
「一華ちゃん料理出来んの?」
「うーん…カレーなら出来るよ」
「じゃあカレーでいいんじゃね?みんなカレー好きだろ」
「そうだね!カレーの材料買っていこうか」
そう言って一華ちゃんはにんじんや玉ねぎ、じゃがいもを次々とカゴに入れていく。マジ結婚したらこんな感じなんかなぁとか思ったら幸せでならなかった
「さてと、買うものこれだけ?」
「んとね、あとはやすくんの離乳食かな?」
「離乳食ぅ!?カレーじゃだめなのかよ」
「多分食べれないと思う…母乳とかはあげれないから、離乳食しかないと思うよ…」
ぼ、母乳とか…一華ちゃんが葉隠におっぱいやるんだろ…?い、嫌だ!ぜってー嫌だ!一華ちゃんの胸に触れていいの俺だけだし!なんて思っていたら一華ちゃんが“怜恩くんどうしたの?”なんて覗き込んでくるからドキッとした。あぶねー変なこと想像してるのバレて一華ちゃんに幻滅されたら俺、生きていけねー…
「離乳食とミルク買っていこうね。ほ乳瓶はモノクマさんに出してもらおうか」
「…モノクマ何でも屋じゃねーよ、一華ちゃん」
そんなやり取りをしながら買い物を済ませて帰り道、夕日が眩しくて一華ちゃんが輝いてるなーなんて思ったら、葉隠が急に重くなった。見れば寝ていた
「あはは、やすくん寝ちゃったね」
「こいつ、呑気だな」
「きっとパパのそばが安心するんだよ」
「パパって…でも俺らに子供が出来たら…こう、なんのか、な…」
「うん…かわいい子が生まれるよ。怜恩くんに似て野球好きで」
「一華ちゃん、別に俺野球好きじゃ…」
「野球してる怜恩くん好きだよ。あたし」
“男の子生まれたらキャッチボールしてるとこ見たいな”なんて言われて何も言い返せなかった。だって、それいいなって思っちまったから。一華ちゃんが弁当作ってくれて、俺と息子が野原でキャッチボールしてるのを一華ちゃんが見ててくれるなんて、すっげー幸せじゃん
「…あのさ、一華ちゃん」
「うん?」
「幸せにすっからな」
そう言えば、一華ちゃんは何も言わず寄り添ってきて、腕を組んできた。それがまた嬉しかった
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