01


夜中、喉が乾いたからキッチンに移動して冷蔵庫を開けるとキッチンの奥の方で何かが動いた

((おいおいマジかよ…))

電気を点け、恐る恐る近づけば、それは赤ちゃんだった


「なんで学校に赤ちゃんいるんだよ…」


しかもその赤ちゃん、なーんか見覚えあんだよなー…ドレッドヘアーに周りには着物と腹巻きが落ちている…まさか、葉隠…!?


「んなわけねーか」

「どうしたの?」

「おおおっ!?」


突然後ろから声をかけられて、思わず飛び上がった。振り向けば一華ちゃんで、クスクス笑っていた。かっこわりー…俺


「一華ちゃん脅かさないで」

「ごめんね。ところでどうしたの?」

「あー実は…それ」


例の赤ちゃんに指を指せば一華ちゃんはきらきらした目で“赤ちゃんだー!”なんて叫んだ。ちょっとかわいい


「この子どうしたのー?」

「それがわかんねーんだよな、気がついたらいたし」

「だべー!」

「かわいー!男の子なんだね!」


一華ちゃんどこを見て判断したの?ちょっと気になる。まぁそれはさて置きどうするかなと思っていたら、いつの間にかみんなが集まっていた


「何の騒ぎだ。騒々しい」

「びゃ、白夜様の眠りを妨げるなんて、なんて非常識奴らなの…!」

「黙れ、腐川」

「は、はい!」

「あ、みんなどうしたの?」

「相変わらずマイペースですわね、棘原さん」

「まぁそこが棘原氏の魅力的な所ですな!」

「棘原さん、桑田くん、さっきから葉隠くんが居ないんだけど知らないかな?」


苗木が俺達にそういった瞬間、一華ちゃんの腕に集まる視線、それから“まっさかー”なんてみんなで笑った。でも葉隠が居ないのも事実だ


「これ、何でしょう?」

「んー…飴、みたいだねぇ」

「ちょっと見せて」


舞園ちゃんと不二咲ちゃんが何かを見つけたらしい、それを霧切ちゃんが見ている。みんなも集まって霧切ちゃんを囲んだ


「【モノクマ印キャンディー】?」

「なんつーか嫌な予感しかしねぇなぁ」

「兄弟!なんでも疑うことはよくないぞ!」

「だが、怪しい」

「あ、それ僕が開発中だったキャンディー」

「ん?」


不意に聞こえた声に振り向けば集団の中にモノクマがいた。それに驚けば、一華が“あ、モノクマさん”なんて言っている。なんつーマイペース


「どう言うこと?」

「それは僕が開発していた若返るキャンディーなんだよね。でもまだ試作品だったから誰かで実験しようと思って置いといたら葉隠くんが食べちゃったみたい」

「は?葉隠が食べた?」


その言葉に視線は再び一華の腕に集まった。見覚えのあるドレッドヘアーに面影ある顔、散乱した葉隠の服…マジで!?マジで!?


「きゃはー!うっけるー!葉隠食い意地はりすぎじゃん!」

「ふん、これだから庶民は」

「それは違うよ!」

「…どういうことだ」

「さっきモノクマが言ってたじゃないか、“誰かに食べさせようとした”って、つまりこのキャンディーはお菓子棚にあったんだよ」

「そうね、苗木くんの言うとおり、同じ様なものがたくさん置いてあるわ」

「やべ、全部モノクマ印じゃねーか」


ハッとして手に持ったジュースを見れば小さく【モノクマ印サイダー】と書かれていて、飲まなくてよかったと心の底から思った

「つまりここにはモノクマ印の物しかないわけー!?」

「危なくて食べれねぇじゃねぇか」

「それより葉隠くん、戻るの?」


一華ちゃんの素朴な疑問に、みんなが一斉にモノクマを見た。しばらくの沈黙のあと、“時間がたてば戻るよ”と言う回答に一華ちゃんが胸をなで下ろした


「よかったねー葉隠くん」

「だべ?」

「それより誰が葉隠くんの面倒を見るか決めなくていいのぉ?」


不二咲ちゃんの一言に視線は一気に一華ちゃんに向かう。一華ちゃんもそれに気がついたのかよくわかんねーけど笑っていた。まぁ、一華ちゃんマイペースだけど面倒見いいし、大丈夫だろうなー


「うむ、棘原くんなら安心だ!」

「そうだねぇ」

「ん、あたし?」

「棘原ちゃん葉隠の面倒頼めるかな?」

「いいよ!あたしやる!…でも1人じゃ心細いな」


なんて言う一華ちゃん。助けてーけど子供の面倒見るなんて俺の柄じゃねーからな、こーゆーのは苗木とかに任せた方が…いやいや、一華ちゃんと苗木が子育てとかそれはそれでムカつくつーか、将来一華ちゃんと添い遂げるには今のうちに練習しといた方がいいつーかなんつーか…なんて考えていれば一華ちゃんの腕でもぞもぞ動き出した葉隠、何かと思ってみてみれば髭を掴まれた


「ぱぁぱ」

「は?」


一瞬何が起こったかわからない。つーか髭いてーな。それを見た十神は“決まったな”とかほざいてる


「…桑田くんですか?少々野蛮ですけれどまぁ、葉隠くんがそれで宜しいならば…」

「桑田くんかぁ、棘原さんもそれでいい?」

「あたしは大丈夫よ!苗木くん」

「ちょ、ま…」

「じゃあ頼んだわね、桑田くん、棘原さん」

「はーい!」

「だべ!」

「ア…アホアホアホォ!」


こうして一華ちゃんとの子育てが始まったのだ





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