スカートが呼んでる


ふわり、ひらり、一回転すればスカートが揺れた。そんな様子を見ていた私の彼氏は“パンツ見えるぞ”と一言。違うよ。そんな感想聞きたいんじゃない

「似合ってる?」
「んー…まあいんじゃねぇ?」

またくるっと一回転すれば赤い色のスカートがふわりと揺れる。“だから、パンツ見えるぞ”なんて言う宮地先輩に私が彼のお決まりの台詞を言いたくなってしまった

「宮地先輩、ちょっとは興味持ってください」
「だっておしゃれとかわからねぇしな…」
「私に似合うか似合わないかくらい判断出来ますよね?その頭は飾りですか?」
「ははっ轢くぞ?」
「痛い!痛い!頭潰れる!」

ぎゅうっと持たれた頭、私の頭はバスケットボールじゃないよって言いたくなる。ぐしゃぐしゃになった頭を手櫛で整えながら、“着替える”と呟いてカーテンを引いた。せっかく久しぶりのお休みで学校帰りに大好きな宮地先輩とお買い物に来たのに、何これ全然楽しくない。てゆーか宮地先輩おしゃれに興味無いくせになんで買い物なんか誘ったのよ。それに宮地先輩、おしゃれに興味無いくせにセンス良いとかずるい!カーテンからちらっと宮地先輩を覗けば、モデル顔負けの立ち姿で道行く人を魅了していた。制服姿なのに、だ。あの人、本当にずるい

「おい、まだか」
「今出ます!」

カーテンを開いていつもの制服姿に戻ったのに宮地先輩はその格好をじっと見つめている。何だろうと思いつつ、近付いてきた店員さんに“やっぱり良いです”とスカートを手渡した

「…買わないのか」
「買いません。似合ってなかったんですよね?」
「そんなこと言ってねぇぞ」
「…とにかく買いません。すみません、ありがとうございました」

店員さんにお礼を言ってスタスタと店を出れば、“おい、何怒ってんだよ”と宮地先輩が付いて来る。怒ってません。別に。強いて言えば悔しい、が今の気持ちに当てはまるかな。宮地先輩はかっこよくてはセンス良くて自慢の彼氏だ。そんな先輩に釣り合う女になりたくておしゃれ頑張ってるのに宮地先輩は気付いてくれないんだから

「…お前の用事終わったよな」
「まぁ、はい」
「じゃあこっち」

そう言って連れてこられた靴下屋さん。なんで靴下なんだと思っていれば、渡されたタイツ。もう訳が分からないと言う顔をすれば“さっきのスカートにそのタイツ履けば寒くないだろ”って言われた

「それ買うぞ。それなら学校に履いてっても校則違反にならないし」
「え、それって…」
「おしゃれとか俺わかんないけど、寒さ我慢してするもんじゃなくないか?風邪引くぞ」
「あ、う…はい」
「わかったらさっきの店戻るぞ」

“あれ、気に入ってたんだろ?”なんて言って宮地先輩が手を引く。寒さ我慢してたこともあのスカート気に入ってたことも全部お見通しか…まるでどっかのハイスペックな彼と同じだなぁ、なんて思いながら笑えば、“何笑ってんだ、轢くぞ”と言われた。でもそんな先輩の耳が赤いからますますおかしくて笑ってしまう。お目当てのスカートのお店まであと少し





その後店に戻ってスカートを履いて再び一回転すれば“似合うか似合わないかわかんないけど、かわいいな”なんて言われて私の顔が真っ赤になった



end




色彩さまに参加させていただきました。素敵な企画に参加できて幸せでした





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