真夜中の密会


「すき、だ…」

福井くんがそう言って私を抱き締めた。逃げようにも福井くんの体は私よりも大きいから、覆われてしまって逃げられない。そのままゆっくりと宙を舞ったと思ったらベッドにダイブした

「ちょ、ちょっとまっ…」
「待てねぇ」

塞がれた唇、熱い吐息、全部が全部、私を興奮させる材料でしかないけれど、ここは寮、だ。福井くんに呼ばれたからこっそり会いに来たけれど、こんなことになるなんて想像していなかった

「ここ寮だよ、福井くんっ」
「名前だって期待してるだろ?」
「してないよっ、大体私が居ること誰かに見つかったら…」

部屋の外や隣から色んな声がする。女人禁制の寮で女の子が居るだけで騒ぎになることは間違いない。大体、福井くんが怒られてしまう。それは嫌だなぁ。ああ、軽い気持ちで、“密会とかドキドキしちゃう”なんて思って来るんじゃなかったと溜め息を付けば、ムッとした顔の福井くん

「そんなに俺と居るの嫌かよ」
「そうじゃなくて、見つかったら怒られるよ?」
「俺はそれでもいい。それ以上に名前と居たいんだよ」
「…なんか誰かさんに似てわがままになったね?」
「そんなことねーし」

完全に拗ねた福井くんは完璧紫原くんなんだけれど、それにおかしくてクスクス笑っていれば“笑うな”と、唇を塞がれた。ゆっくり首筋をなぞる舌は熱い、熱いなぁ、なんて思って声が漏れる

「静かに」
「む、無理だよ」
「いつも大人しくて声小さいくせに」
「だ、だって」

“好きな人にそんなことされたらドキドキするもん”なんて言えば、“何言ってんだよ”と福井くんまで顔を赤くした。だってしょうがないじゃん、福井くん大好きなんだもん、確かにいけないことだって分かってるけれど、それ以上にドキドキするし、何よりいつもより大胆な福井くんが見れて嬉しい、って言ったら変かなぁ…?

「名前、お前な…」
「好きです、福井くん」
「…俺も」

そう言われて三度目の口付け。甘いのはどうして?さっきお菓子食べたから?2人で抱き合ってクスクス笑っていたら、コンコンと部屋の扉を叩く音が聞こえて、一気に緊張が走る。“隠れろ”と言われて慌てて2人して布団の中に潜り込めば“室ちーん?”なんて声がして、静かになった。どうやら扉を叩いたのが氷室くんで、紫原くんが氷室くんを呼んでどこかに行ったようだ。ふう、と肩の荷を降ろせば、福井くんも同じ反応で笑う

「…泊まってくか?」
「やーよ。また危険な目に遭いたくないもの」
「悪かったな」
「ううん、楽しかった」
「…送る」

そう言って手を握る福井くんに心が満たされる。2人で仲良く部屋を出れば、着信があった。見れば氷室くんからで【密会は程々にしてくださいね】なんてメールが送られてきて“バレてたね”なんて互いに顔を見合わせて笑った


Happy Birthday 福井




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