壁際に追いやられて、背中が壁にぶつかって身動きが出来ない
「何逃げてんだよ。名前」
目の前には鋭い眼光で見つめてくる青峰がいる。舌なめずりして、獲物を捕らえるような目で見てくる青峰に視線を反らせない
「もう逃げらんねぇぜ?」
しゅるり、セーラー服のスカーフを外されて、ボタンを手をかける青峰にハッとして手を掴んだ
「なんだよ。逃げらんねぇ、何も言わねぇ…今更抵抗してんじゃねぇよ」
「て、抵抗するよ!こんなこと…」
「いつかは通る道だろ?逃げてんじゃねぇよ。めんどくせぇ」
そう言って顔を近づける青峰に両手で唇を覆った。すると青峰はその覆った私の手に唇を近づけ触れる。触れられたところから電気が走り、体がびくりと揺れた。それを見て青峰はニヤリと笑う
「すっげー心臓の音、聞こえるんだけど」
“期待、してんだろ?”そう言われて顔が熱くなるのを感じた。確かに期待、しているかもしれない…期待半分、恐怖感半分。このまましてしまったら本当、ショック死するんじゃないかってくらい青峰が好きで、好きで…でも怖くて
「もう考えるのは止めようぜ?」
“本能に任せろよ”ゆっくり私の震える手を取り、自分の胸に当てる青峰。心音が聞こえてきて心地いい。てか青峰もこんなにドキドキしてたなんて…なんか同じ気持ちなことが嬉しくて青峰を見つめた
「怖く、無くなったか?」
「ちょっとは、ね…」
「じゃあ、してみようぜ?」
そう言って唇を近づける青峰。その瞳に吸い込まれそうで、震える。それに気づいた青峰が“やっぱり止めるか”と笑って頭を撫でた。それも普段見せないような笑顔で
「だってこえーんだろ?怖がりだもんな。名前は」
「…優しくて気持ち悪い」
「はぁ?」
「だって、優しい青峰とかなんか企んでそうで…」
「ふざけんなよ!つーか優しくしたらこれかよ。さつきの奴優しくしたら何とかなるとか変なアドバイスしやがって、何もならねえじゃねぇかよ…」
「何ブツブツ言ってるの?」
「何でもねぇよ!」
そう言って、そっぽを向く青峰。耳が真っ赤だ。ちょっとかわいいな
「大輝」
「あん?」
振り向いた大輝に自分から抱きついた。そのまま勢い余って押し倒す形になって、“さっきと違って随分大胆だな?”なんて笑ってる。だから私は“ちょっとだけ絆されてあげる”そう言って、唇を突き出して見れば“ブッサイク”って言いながら頬に触れて唇を近づけてきた
「…俺の勝ちだな」
「そうね。負けたかも。でも大輝相手なら良いかな」
「当たり前だろ。俺に勝てるのは俺だけだ」
「それいつまで言うの?」
「うっせぇ」
そう言って大輝は私を抱き締める。照れ隠しなんだろうけれど心音が本当にうるさい。だけど心地いいから、そのまま目を閉じた
end
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