愛の定義


こんなにも心からあなたを求めてるのに、なんで振り向いてくれないの?私を求めないの?私そんなに魅力無いかな…?

「それ、ちょーだい」
「あ?これか?」
「うん、一口食べたいな」

ソファーに座ってケーキを食べようとする日向の隣にやって来て、口元を指差し、あーんと口を開けた。すると日向はフォークでケーキを少し切って乗せて、私の口元まで運んできてくれた。嬉しくてぱくり、甘い味が広がった

「うまいか?」
「うん!」
「じゃあ俺も」

そのフォークを何の気なしにケーキを切って口元に運んだ日向、その様子を見ながら、ニヤリと笑えば、“な、なんだよ…”と頬を赤らめる

「今、間接チューだねぇ…?」
「な、ばっ…うっ、げほっげほっ!」
「…咽せるほど慌てること?」

それとも…意識、してくれてる?なんて思いながらまだ咽せている日向の手を取った

「名前、お前何なんだよ」
「んー日向が私を意識してくれてるのかなぁって思って…」
「か、彼女なんだから、意識するに決まってんだろ…」
「じゃあさ…」

ケーキのクリームを指で掬って、日向の唇に当てた。そのまま指を口の中に突っ込んだら、“んぅ…”と言う声がする。苦しそうに高揚する日向が可哀想になったから、指を離してあげれば、“お前、何すんだ”と睨まれた。息あがってる。全然怖くないや。そのまま唾液でベトベトになった指を自分の口元に持って行こうとしたら、腕を掴まれた

「…お前本当に何してるわけ?」
「んー日向順平を誘惑、かな?」

“とっておきのデザート食べたくなぁい?”なんて谷間見えるくらい前屈みになってみた。いい加減気づけよ。なんて思っていたらため息をついた日向が服を脱いだ。お、やる気になりましたか!なんて思ってたら、その服を私に着せた

「え?」
「そんな、目のやり場に困る格好すんなよな。着てろよ」

頭をわしゃわしゃと撫でられて日向はクローゼットに向かう。もう!そうじゃないんだってば!私は慌てて日向の背中に抱き付いた

「じゅんぺい…あの…」
「服着れないだろ」

そう言って引き剥がされて、もう涙が出そうだった。日向本当に歴史フィギュア以外興味ないんだから!私はその武田信玄以下なの?伊達政宗以下なの?もう、女としての自信なくなってくる

「もう良いよ。バカァ」
「誰がバカだ…おい、こ…ら…」
「順平の歴史オタク!もう知らない!別れる!」

服を脱ぎ捨て、鞄を手に取り部屋から出ようとすれば、日向が抱きしめてくる。そしてそのまま、ベッドに落ちていた事に気づいた

「俺は、散々我慢したからな」
「え?」
「傷つけたくないから大切にしようとしたのに、どっかの誰かさんは自由奔放で誘惑してくるし、挙げ句の果てには泣き出して別れるとか言うし、もう、知らねぇからな」

眼鏡を外し、上半身裸の日向に抱き締められて、どれだけ私が大切にされてたか身にしみたし、それと同時にドキリとした。妖艶な順平、見たこと無かったから…

「順平にならめちゃくちゃにされたい」
「本当にお前は…」
「ビッチだよ。順平にだけ、だから」
「他の奴にまでやってたらマジで怒るから」
「ビッチでも愛してください」

そう言うと、“名前を愛してるんだから当たり前だろ。ダァホ”って返ってきた。今まではセックスしないとなんだか満たされない気がしていた。愛されてないんじゃないかって不安だった。でもね、そんなこと無かった。順平の優しさで十分満たされてる。ありがとう順平、愛してる



end






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