ハニィ・ハニィ・チョコレィト


俺はバレンタインデーと言う甘い甘い日の前日、に生まれた。だから人より多く、かわいい女の子達からプレゼントもらえる!と言う素晴らしさを味わえる。けどまぁ、大体が“はい、誕生日プレゼントー!バレンタインデーも兼ねてー!”なんて笑顔で渡される。でもこれもまあ、女の子達がバレンタインデーにプレゼントを渡せなくて、恥ずかしがってるだけだと、俺は思う!現にクラスメートの名前ちゃんが赤い顔で俺のそばにやってきた

「も、森山くんっ」
「何かな、名前ちゃん」

盛大な決め顔で振り向けば真っ赤な顔した名前ちゃんがもじもじした後、指を指す。何かと思って指を指すほうを向けば、女の子達がきゃあきゃあ言っているではないか!モテ期か!ウキウキして女の子達の方に手を振れば、クスクス笑って行ってしまう。なんだなんだと思っていれば、言いにくそうな顔の名前ちゃんが“チャック開いてるよ”って言われて慌てて下を見た

「早く言ってよ!」
「言いにくくて…」
「あーあーモテ期だと思ったのになぁ」
「モテたいの?」
「そりゃあね。でも本命チョコレートも欲しいな」
「わがままだなぁ、森山くんは」

“本命かぁ”と呟く名前ちゃんと目があった。すると一瞬笑って、すぐに目をそらされた。そして“私は好きな人にチョコレート渡せれたらそれで満足かなぁ”なんて言った

「告白はしないの?」
「勇気ないから」
「名前ちゃんかわいいんだからさ、大丈夫だって」
「その人との関係を壊したくないんだぁ」

そう言って笑う名前ちゃんに胸がちくちく。いつからだろうか、大人しくて、ちょっと臆病な名前ちゃんを守ってあげたいと思うのは何故か。最初はただのクラスメート、隣の席の女の子だったはずなのに

「明日バレンタインだね」

“渡せるといいね”なんて心にもないことを言った。すると名前ちゃんは一瞬顔をしかめた後笑って“ありがとう”と言った。その表情に胸が痛い

「私、そろそろ委員会行かないと…」
「俺も部活…」
「また、明日ね」

そう言って手を振る名前ちゃんを見て寂しい気持ちになった。俺、もしかして名前ちゃんのこと好き?気づいた時にはもう遅い。名前ちゃんは近くに居ないし、想い人もいる。報われない恋が決定した瞬間だ

「名前ちゃん…」

そう呟いて部活の準備をすれば机から何か出てきた。もしかして、と期待を膨らませて手元を見れば、箱と手紙。【私を見つけてくれたら嬉しい。大好きです】と書かれていた。その文字を俺は知っている

「名前ちゃん!」

慌てて追いかけて名前を呼べば涙目の名前ちゃんが見えた

「見つけたよ。俺のハニー」

キザな台詞を吐いて側に寄れば震える手を伸ばしてくる。その手を取って抱き締めた

「誕生日おめでとう」
「ありがとう。俺、俺名前ちゃんが…好きだ」
「うん」
「今気づいたんだけどね。ごめんね」
「ううん。嬉しい。あのね」

“明日、チョコレート渡しても良い?”なんて控えめに聞く名前ちゃんがかわいくてしょうがなかった



Happy Birthday 森山





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