知りたがり


気になる人が居る。その人は教室の1番後ろで、火神くんと仲が良さそうで、容姿は中肉中背、水色の髪なのに普通の顔で、正直あまり目立たない人間だ。本人もそれを自覚してるらしく、あまり周囲と馴染もうとはしない。そんな人をなぜ気になるのかって?理由は簡単だ。優しくされたからだ。ある日大量のプリントとノートを先生に運ぶように言いつけられて、運んでる中、階段の踊場で派手に転んだ。それまではよかった。よくないけどまだ頑張れた。でもそのぶちまけたノートやプリントが不良と呼ばれそうな人の周りに落ちた。と、取りに行きにくい!周りに居た人も一瞬は立ち止まったけれど、見て見ぬふり、まぁ、関わりたくないよなぁ運ぶの手伝いしなきゃなんないし、なんて思いながら“すみません”と声をかけながらノートやプリントを取りに行けば、いつの間にか囲まれていた

「君、結構かわいいねー」
「授業サボって遊ばない?」
「えっと、いや、その…」
「いいからさー」
「わっ!」

ぐいっと引っ張られたと思ったら、その不良の1人が急に崩れ落ちた。見れば誰か居る。なんだなんだと思っていれば“困ってますよ”と言う優しい声が聞こえた。急に現れた男の子に私も不良っぽい人も戸惑うばかり、我に返った不良の1人が、“何すんだ”って胸倉をつかんだ瞬間“黒子ー?何してんだ”なんて声が聞こえる。火神くんだった

「あ、火神くん」
「…また厄介ごとに首突っ込んでんな」
「やべ、火神だぜ。いくぞ」

火神くんが怖かったのか不良の人達は逃げていく。“大丈夫ですか”なんて声をかけられて慌ててお礼を言った

「ありがとうございました。えっと黒子くん。火神くん」
「俺は別に何にもしてねぇよ」

“コイツが助けてくれたんだろ?”なんて火神くんが黒子くんの頭を鷲掴みする。すると黒子くんは一瞬火神くんをみた後私の足元に跪く

「怪我、してます」
「あ、本当だ。気がつかなかった」
「血ぃ出てるじゃねぇか!」
「あは、さっき階段で派手に転んで…」
「ちょっとじっとしててください」

そう言ってポケットから絆創膏を取り出した黒子くん。膝に触れる指先が熱くてなんだかドキドキした

「これでよし。気をつけてくださいね。名字さん」
「名前…」
「名字名前さんですよね。クラス委員の名前くらい知っています」

そう言われて恥ずかしい。私は黒子くんの名前知らなかったから…クラス委員失格ね

「運ぶの手伝いますよ」

そう言って黒子くんがノートとプリントを半分持ってくれた。それからと言うもの、黒子くんと火神くんと仲良くなったのは良いものの、黒子くんと話をするときだけ顔が熱くなる。何でだろう?普通黒子くん見ると寒くなる感じするけど、色的に。あれ、偏見かな?なんて考えながらお昼休み、黒子くんに校舎裏に来てもらって胸の内を伝えてみた

「それでね、動悸がして、胸が苦しくて、顔が熱いの」
「…名字さんそれ天然ですか?」
「私病気かなぁ」

そう呟けば、黒子くんは小さく溜め息をついた後笑って、あの日会った話を始めた

「あの時君を助けたのは放って置けなかったのと、僕に下心が合ったからです」

“知らない人が君に触れるのが許せませんでした”そう言う黒子くんに疑問符を浮かべて、首を傾げると、黒子くんは困ったように笑った

「ごめんね、私勉強以外のことはなかなかピンと来ないから…なんで触られたくないの?」
「それ、聞きますか」
「聞いちゃいます」
「そうですね。あなたが好き、だからです」
「私も黒子くんが好きです」

そういって笑えば“違う!”と珍しく声を張り上げた黒子くん。そして抱き締められた

「黒子くん?」
「変ですね。僕もあなたと居ると動悸がして、胸が苦しくて、顔が熱くなります」

“病気でしょうか?”なんて笑う黒子くんの話の意味に気づくまでもう少し


Happy Birthday 黒子







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