「せんせっ!」
「おーどうした涼太」
“ごほんよんでほしいっす”とやってきた涼太。動き回るのが大好きな涼太が本を読んで欲しいとか珍しいなと思いながらも本を受け取り、ページを開く
「じゃあ涼太、俺のとこおいで」
「やった!」
「そんな喜ぶことじゃないだろー?」
「いまだけおれがせんせいひとりじめしてるからうれしいっす!」
「大袈裟だなぁ。まぁいいや。読むよ?」
涼太が持ってきた本は桃太郎。話をしていくごとに目を輝かせながら話に合わせて俺の足元で動く涼太、顎に腕が当たってアッパーを食らったりして正直痛ぇ…
「涼太ー動くなー退かすぞ」
「いやっす!じゃあうごかないっす!」
「よろしい…んで、桃太郎は鬼をやっつけ、平和になりましたとさ。めでたしめでたし」
「ももたろうかっこいいっすね!」
「そうだな。強いな」
「おれもはやくおおきくなってせんせいまもりたい!」
「おっとー。俺男だから大丈夫よ?」
そう言えば“せんせいはあぶなっかしいっすよ!”なんてムキになる涼太。まぁ、子供の夢を壊すのは良くないなと思って“ありがとな”と頭をなでると、涼太は笑顔になって抱きついてきた
「せんせいはおれがまもるっす!」
「あぁ、頼りにしてるぜ?」
「せんせいだいすき!」
「ありがとう」
にこにこ笑いお礼を言えば涼太も嬉しそうにしている。いつか本当におっきくなった時は守ってくれよな、桃太郎っ
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