「せんせー?」
「テツヤ…どうした?」
職員室に突如現れたテツヤにちょっと驚きながらも笑顔で対応すれば、テツヤはてこてこと俺の元にやってきた
「せんせー、あのね」
「なぁに?」
「せっくすってきもちいいですか?」
「……………………」
「きもちいいですか?」
「またその話かい」
テツヤは大人しい子で割としっかり者な読書好き何だけど、如何せん、変な小説ばっかり読んでるんだ
「きもちいい?」
「…あのなぁ、テツヤ。お前いくつよ」
「ごさいです」
「5歳児がこんな漢字だらけの小説読めるわけないだろ」
「いまよしせんせーがふりがなふってくれました」
((あのくそ眼鏡後で殴る))
そう思いながら棚から絵本を取り出してテツヤに見せた。内容は【桃太郎】だけどテツヤは首を横に振った
「普通の本はだめなのか?」
「ぼうりょくてきなのはにがてです」
「桃太郎を暴力的と捉えるか…平和主義だなぁ。じゃあシンデレラとか?」
女の子向けだから嫌がるかなぁと思ったら、テツヤは興味深そうに本を覗き込む。それで俺と絵本のシンデレラを交互に見た後“このこ、せんせーににてる”なんて言ってきた
「え?俺似てる!?」
「はい。とても」
そう言うテツヤの顔が可愛かったからなんかもういいかなぁって思ったら突然頬に柔らかい衝撃が走った
「え?」
「きすしたからせんせーはぼくのものです」
“おうじさまのきすでめざめてけっこんするんです!”なんて力説するテツヤだがそれはシンデレラじゃなくて白雪姫なのことを伝えるべきか悩んでしまった
「せんせーすきです」
でもまーかわいいからいっか!
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