天気の良い昼下がり、相変わらず屋上でサボって昼寝をしていれば誰かがやってきた。どうせさつき辺りだろうと思って重い腰をあげれば見えたのは別の顔
「小雪?」
「大輝くんっ」
“おはよ、いや…こんにちは?”なんて笑顔を向ける小雪に近づいて“どうしたんだ”と話を聞けば“大輝くん探してたんだよ”なんて声が聞こえた。探されてたのか…ちょっと、何つーか嬉しい
「今日、大輝くんとお昼食べたくってご飯作ってきたの」
「昼?」
「そ、そう!だめ、だったかなぁ…」
「全然だめじゃねぇよ。つーか悪いな」
「ううん、ちょっとでも大輝くんと一緒に居たくって…」
なんつー小雪に顔が赤くなる気がした。やべぇ、小雪がかわいすぎて心臓もたねー…なんて考えながら小雪の持ってきた小さな弁当箱をあければ玉子焼きやら唐揚げやらタコのウインナーやらが入っていた。流石料理専門マネージャー。さつきのとは全然ちげー
「大輝くん?」
美味そうな弁当をじっと眺めていれば、小雪が不安気に聞いてくる
「おいしくなさそう?」
「いや、逆。言葉でなかったわ、美味そうで」
「ありきたり過ぎちゃったかなぁって思ってるんだよね」
「んなことねぇって…味は申し分なねぇな」
「よかったー」
安心したように笑う小雪に俺も頬がゆるんだ。するとずいっと出された玉子焼き。なんだと思って小雪を見れば、真っ赤な顔で控え目に“あーん?”なんて言うからびっくりだ
「お前…」
「大輝くん、あーん…」
「あー…ん」
甘い玉子焼きを噛みしめるように食べれば、嬉しそうに笑う小雪、だから俺も小雪の箸を取り上げて、玉子焼きをつまみ、目の前に突きつけた
「ほら、小雪」
「えっ…」
「あーん」
「あ、あーん…」
「…うまいか?」
「うん!」
笑う小雪に俺も幸せな気分になった。たまにはこんな午後もありだ
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