「お前が好きだ小雪」
ずっと気になっていた。小柄で飾り気がなくて素直で泣き虫で弱い小雪を俺が守らないとと思っていた。あの日、人気のない体育館に続く廊下で、クッキーを投げ捨てようとしていた小雪を止めた時のあの澄んだ瞳が忘れられなかったんだ
「あ、あたし、ブス…だよ?」
「ああ、ブスだな」
「…っ」
「だけどな、俺は好きなんだよ。それに俺のもんにならないなんて余計にブスだ」
そう言って細い体を抱きしめた。告白なんてしたことなかったし、されたこともあるけどほとんどがキャーキャーうるさい声で分かんなかったりした。なんでこんなめんどくさいことをわざわざするんだとかも思った。実際今告白して正直めんどくさい。小雪の反応もドキドキしっぱなしでうるさい心臓も熱い頬も全てがめんどくせぇ。でも不思議と悪い気はしなかった
「で?」
「え?」
「返事はどうなんだよ」
頭をかきながら聞けば小雪は真っ赤な顔をして俯いた
((反応がいちいちかわいいんだよ、ちくしょう…))
なんて思っていると背中に腕が回された。たったそれだけのことなのに舞い上がっている俺がいる。俺はこんなに単純だったのか?
「あたしも、青峰くんが好き…」
「違うだろ?」
「え?」
「大輝って呼べよ」
「だいき、くん」
「小雪」
それから俺はより強く、だが壊れないように小雪の体を抱きしめた。頭に顎を乗せれば小雪の甘い香りが肺いっぱいに広がった。初めての告白は幸せしかなくて、こんなに幸せだからみんな告白すんのかなとか思った
((小雪、大切にする))
小さくつぶやいた言葉。小雪の顔を見れば笑っていた
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