団蔵+α


「ねぇ兄ちゃん」


珍しく部屋に遊びに来た団蔵(正確に言えば留先輩のお使いで来たんだけど)の髪をいじっていたら、ふいに呼ばれた。せっかく綺麗にしたのに団蔵は急に振り向いたから風圧でまた後ろ髪がはねた

((せっかく綺麗にしたのに…))

なんて、某カリスマ美容師の息子みたいなことを思いながら頭を撫でた


「なんだい?」

「変なこと聞いても笑わない?」

「俺はいつもお前の話聞いたら笑ってんのか?」


試すような素振りで聞き返せば団蔵は勢いよく首を横に振って、そして真っ赤な顔でぼそぼそと何か言い始めた


「兄ちゃんはさ、初恋っていつ?」

「初恋…?」


何かと思えば初々しい悩み。あまりにも可愛くて顔がにやけそうになった…けどなんで今更初恋なんて言葉が出てきたんだ?


「好きな女の子でも出来たのか?」


もしそう言う場合ならその相手の女の子が団蔵に相応しいかどうか調査する必要があるな…


「ち、違うよ!そうじゃなくて…前に兵太夫に言われたんだ“中1にもなって初恋も知らないの?”って…」


なるほどねー…まぁ中学生にもなれば色恋沙汰の1つや2つはすでに体験しているものだけれど、生憎団蔵は小学生の時から【女の子】って意識よりも【友達】って意識の方が強かったし、加えて持ち前の天然さだ。女の子が好きだという気持ちを出してもまるで気が付かなかったからなぁ…

((デリカシーも皆無だし…))

この学園に入ってからはより女の子とふれあう機会は減ったからな…会うとしたら隣の女子校との合同体育ぐらいか学園長先生の思い付き行事を一緒にするかぐらいだ


「初恋かぁ…俺はつねに恋してるからあんまり覚えてないんだよねー」

「そっか、兄ちゃん忘れるほどしてるんだ…」

「あぁ、そうだな。いつもいつも団蔵に恋してるぞ?」

「僕?」

「うん。毎日毎日団蔵が可愛くて仕方ないよ。大好きだから!」

「僕も兄ちゃん大好きだよ!じゃあこれが初恋なのかなぁ?」

「そうかもな」

「分かった!兄ちゃんありがとう!」


元気になった団蔵はめずらしく俺に抱きついてから部屋を出ていった。俺はもういない部屋の入り口に手をふっていると何ともいえない顔をした三郎がこっちを見ていた


「…嘘教えるなよ」

「いいじゃないか。つかてめぇなんでそこにいるんだよ。ここは俺とはちの部屋だっつーの」

「かわいい弟くん、同級生にまた何か言われるぞ?」

「どこの馬の骨か分からん女に惚れるよりは幾分ましだ…それにさ」


泣いて俺にすがる団蔵もかわいいだろう?


「ドS」

「うるさい。あのサラスト委員長と一緒にするな」

「一緒じゃないか」

「せめて確信犯と言ってくれ」

「…もっとたち悪「あ゙?」

「…何でもないです」


end


おちはないです。お兄さんは虐めっこではありません。ただ団蔵くんへの愛が暴走気味なだけです。



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