乱太郎



「うわあっ!」


足を取られたと思ったら近づいてくる地面。まずい、転んでしまう!と思った瞬間、次に感じたのは地面よりも柔らかい衝撃と暖かさだった


「っと…あぶない」

「え?」

「大丈夫?」


頭上から声がして、見上げると加藤先輩が笑っていた。後光が眩しい


「あ、ありがとうございます」

「いいよ、気にしないで。たまたま通りかかっただけだから」


にっこり笑う加藤先輩。実は加藤先輩と2人っきりで話すのは初めてでなんだが緊張する。いつもならそばに団蔵がいて、団蔵がお兄さんの加藤先輩についていろいろ話してくれて、それを先輩が嬉しそうに聞いてる光景をよく見かける。だから私は何を話したらいいか分からなくてとりあえず“えへへ”と笑ってしまった。話したいことがたくさんあるのにうまく話せなくて歯がゆい


「じゃあ、私はこれで…」

「あ、乱太郎くん」

「はい?」


立ち去ろうとした時に名前を呼ばれて振り向いた。相変わらず眩しい笑顔だなぁって思っていれば“乱太郎くんは絵が得意何だっけ?”と言われた


「はい、まぁ、一応…」

「じゃあさ、俺これから美術の課題するんだけど、何描いたらいいかわかんなくてさー」


“暇だったら手伝ってくんない?”なんて言う先輩に心が踊った

((加藤先輩のそばにもう少し居られる!))

そう思ったからだ。美術の課題なんて先輩ならちゃっちゃか出来そうなのにきっと私が話したそうにしてたのを感づいてくれたのだろう。自惚れかもしれないけれどとても嬉しくて“私手伝います!”と元気よく返事をした。加藤先輩も嬉しそうに笑ってくれた


end


乱太郎ムズい…






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