「立花先輩」
お茶をたてているとみかんを頬張った加藤が話しかけてきた。こうやって2人でお茶をすることはよくあることだが、加藤から話しかけてくるのは珍しい。“なんだ”と顔を上げて対応すれば、みかんを飲み込んだ加藤が近づいてくる。話しかけるだけでなく、近づいてもくるとは何事かと思っていれば、手元には何やら文があった
「これはなんだ」
「渡しましたからね」
「だから何なのだと聞いている」
「隣の女子高生からのお・て・が・み!さっきここ来るときもらったんすよ。立花先輩に渡して欲しいって」
“相変わらずモテモテで”なんてにやついている加藤が少し憎らしい
「受け取れぬな」
「なんでですか。わざわざ持ってきたのに」
「ついでだろう。それに文に頼るより直接言われた方が嬉しいからな」
「勇気がないから手紙なんですよ」
「わかっている。それに告白されたところで答えは決まっているのだから」
「そうなんすか」
興味なさそうに再びみかんを頬張ろうとする加藤の腕をつかんだ。びっくりした表情の加藤と、腕を掴んだ反動でみかんが一房宙を舞った
「な、なんすか…」
「お前は罪深いな」
「え?」
「好きな者から他人の文をもらうほど辛いことはないんだぞ」
「は、えぇ…?」
「…まだ、わからんか」
加藤にそっと近づき額に口づけると少し間があった後、顔を真っ赤にした加藤が“か、からかわないでください!”なんて落としたみかんをひろって食べた
「汚いぞ」
「うるさいです!」
「てれているのか?破壊神のくせに」
「破壊神とか関係ありません!」
照れ隠しをするかのようにみかんを頬張る加藤。あんなことをしたのに逃げないと言うのは私にも脈あり、と考えてよいのだろうか?
end
立花先輩。失敗しました
もうお兄さん総受けすぎる
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