「加藤!」
探している主の名前を叫んで学園中を歩いていると、草陰がびくりと揺れて中から呆けた顔の加藤がでてきた
「そこにいたのか!」
「なんすか、七松先輩」
欠伸をしながら返事をする加藤に“眠いのか?”と聞けば“誰かさんが来なければお昼寝タイムでしたねー”なんて言われてしまったが、気にしない。どかっと隣に座れば、加藤はまた1つ欠伸をしてこっちを向いた
「何用ですか」
「ただ会いたかっただけだ!」
「はあ」
「ここは人も来なくて天気も良くて良いところだな!」
「穴場なんですよー」
ふわふわ眠そうな加藤は欠伸をしたせいか涙が目元に溜まっていた。その涙を見てどきりと胸が高鳴り、加藤の高揚した頬と潤んだ瞳にのどが鳴った
「加藤っ」
「なに…わっ!」
どすっと落ちた芝生の上、下には訳が分からないと言う顔をする加藤、そんな顔もすごいそそる
「加藤」
「…なんですか」
「腹減らないか?」
「…それとこれとどういう関係があるんですかね?」
眉間にしわを寄せて青筋を出す加藤は少し怒っているようだが怖くない。むしろおいしそうだ。ほんのり色づいている耳を噛んだら“ひゃぁ!”と言う声が聞こえた。顔を覗き込めば加藤がしまったと言う表情をして口元を押さえていた。これはつまり…
「加藤…おなかすいたなぁ。私」
「は、ははは。ご飯食べにいったらどうですか?」
「何とかは恥だから食うよ」
「据え膳っすね…」
「さぁ、加藤」
“どこから食べられたい?”
にっこりと笑うと、逃げだそうと後ずさる加藤が見えた。私から逃げられると思っているのか?
end
暴君七松小平太!
カニバじゃないよ。性的な意味で腹が減った。暴君に食べられそうになる話だよ
prev next